日本人をはじめ、世界の人口の半分以上の人達の主食であるお米。
特に健康志向の人は玄米を好んで食べています。
でもそのお米、特に玄米に毒物の「ヒ素」が入っているようです。
「玄米が体に悪い」という意見は聞きますが、それは玄米に含まれるフィチンという成分が体内のミネラルを排出してしまうので、長期間の玄米摂取は危険という意見です。
実はもっと危ないのが、この玄米にも白米にも入っている「ヒ素」です。
この記事では、ヒ素とは何か?お米を含めたヒ素濃度が高い食べ物、ヒ素の人体への影響、妊婦・赤ちゃん・子どもへの影響、グルテンフリー・マクロビオティックをしている人は要注意、お米の代替品、お米を食べる場合の工夫について説明しています。
お米にヒ素!?
ヒ素とは?
自然界で主に岩石や土壌、水中に存在する物質で、毒性があります。
無味無臭で、食べ物や飲み物にヒ素が入っていても分かりません。
殺虫剤、殺鼠剤、戦争中の毒ガスに使われたのもこのヒ素です。
有名なヒ素の事件として、
ヒ 素ミルク事件(1955年)
1955年、徳島県内の工場で製造された粉ミルクが原因で乳児が亜急性ヒ素中毒(神経障害、臓器障害など)を発症した事件がありました。粉ミルクに添加 されたリン酸化合物の中にヒ素化合物が不純物としてして含まれていたのです。西日本各地で約12,000人の乳児が約3ヶ月にわたって無機ヒ素を摂取して しまい、100名以上の乳児が死亡しました。現在、事件発生から約50年経過しており、潜伏期間を経てさまざまな健康被害が顕在化することが危惧されてい ます。
和歌山ヒ素カレー事件(1998年)
1998年7月に和歌山市で起こったカレー事件では、約200グラムもの無機ヒ素(As2O3、 亜ヒ酸)の粉末が混入されたカレーを食べた夏祭りの参加者が犠牲になりました。カレールーのヒ素濃度は6,000 ppm以上であり、スプーンで数口摂取するだけで中毒を発症する濃度でした。4名が死亡し63名が急性ヒ素中毒になりましたが、原因物質が特定されたのは 発生から10日後のことでした。また、生存者の尿や髪のヒ素濃度が正常値範囲に回復するまでには2~3ヶ月を要し、DNA損傷も危惧されました。この事件 は世界的にもまれな凶悪で悲惨なヒ素急性中毒事例でした。ヒ素〜嫌われ元素の代表格〜にまつわる話
ヒ素は農薬や肥料に入っている場合もあり、成長を早める目的で鶏の餌に入れられることもあるそうです。
ヒ素濃度が高い食べ物
米
ヒ素の濃度が高い土壌で栽培された作物、ヒ素入り農薬や肥料が使われた作物、特に玄米などからヒ素は検出されます。
コメ(玄米と精米)の総ヒ素および無機ヒ素の濃度の平均値が,小麦,野菜や果実よりも13〜77倍も高い
No.330 日本はコメのヒ素濃度の基準値を規定しなくてよいのか | 西尾道徳の環境保全型農業レポート
畑作物は土壌からのヒ素吸収量が少ないのに対し、水田で栽培される稲は水溶性で水に溶け込んだヒ素を吸収しやすいそうです。
WHOとFAO(国連食糧農業機関)の共催による,食品の国際基準のガイドラインを策定するコーデックス委員会のヒ素濃度最大基準値
白米 0.2 mg/kg
玄米 0.35 mg/kg
EUのヒ素濃度最大基準値
白米 0.2 mg/kg
玄米 0.25 mg/kg
オーストラリアとニュージーランドのヒ素濃度最大基準値
穀類 1 mg/kg
中国のヒ素濃度最大基準値
籾,玄米,精米 0.2 mg/kg
日本のヒ素濃度最大基準値
日本は食品のヒ素濃度最大基準値を定めていないそうです!
2012年に米のヒ素濃度を検査した結果
白米 0.26 mg/kg
玄米 0.59 mg/kg
↑これは基準ではないです。実際に検出された数値です。
魚介類
またヒ素の濃度が高い海水で取れた魚介類などには、食物連鎖を通じて更に濃縮されたヒ素が検出されます。
魚介類や海藻を頻繁に摂取しても慢性ヒ素中毒を発症しないのは魚介類から検出されるヒ素化学種の毒性が大変低いことによると考えられ ています。
海藻類
コンブ、ワカメ、モズク、ノリなどの海藻類も検出されるヒ素化学種の毒性が大変低いため、慢性ヒ素中毒を発症する可能性も低くなっています。
ひじきは要注意
ひじきなどホンダワラ科の海藻はヒ素濃度が高く、海藻の中では例外的に無機ヒ素の割合が高いのです。
日本の厚生労働省は「食べ過ぎに注意」という見解ですが、英国では2004年に国民に対しヒジキ の摂食を控えるように呼びかけています。
ひじきを食べるかは、この事実を知った上で考えた方が良さそうです。
ヒ素の人体への影響
有機ヒ素・無機ヒ素のほとんどは、摂取後数日で体から排出されます。
懸念される無機ヒ素の一部が体内に長期間とどまります。
ヒ素を低容量摂取することによる人体への影響の可能性
・腹痛
・頭痛
・眠気
・下痢
ヒ素を長期で摂取することによる人体への影響の可能性
・皮膚の色素沈着と病変
・認知症
・2型糖尿病
・高血圧
・心臓病
・神経障害
・肝臓障害
・その他の病気
発がん性もあり、ヒ素関連死亡の最も一般的な原因が「肺がん」です。
高容量のヒ素摂取は、ヒ素中毒で死にいたる可能性もあります。
ヒ素の妊婦・赤ちゃん・子どもへの影響
妊娠中の女性がヒ素を摂取することで、生まれてくる赤ちゃんの免疫系が損なわれる危険、知能に影響する危険があります。
また、大人に比べ体の解毒機能が未熟な子どもは、有害物質への感受性が高くなるので、注意が必要です。
グルテンフリー・マクロビオティックをしている人は注意
グルテンフリーの食生活をされている人は、米粉(ライスフラワー)できたパン、パスタ、クラッカーなどを食べる機会が多いと思います。
そしてマクロビオティック(玄米菜食)の食生活をされている人は、玄米の摂取量が多いと思います。
このような方々は、ヒ素の摂取量が多い傾向にあるそうです。
2017年に雑誌「Epidemiology」に掲載された記事によると、グルテンフリーの人はグルテンフリーではない人の平均約2倍のヒ素を摂取しているということです。
お米の代替品
玄米も白米も小麦も食べられないのなら、一体何を食べればいいのでしょう?
・アマランス ー ミネラルが豊富で、やや甘くてナッツの風味の穀物
・キビ ー アフリカと南アメリカで愛される中国出身の穀物
・キノア(キヌア) ー 米よりも多くの繊維とタンパク質を含んだ穀物
・そば粉 ー ビタミンB6、マグネシウム、カリウムが豊富なそばは、小麦が入っていない十割そばを選んでください。
これらの穀物は、米に比べヒ素濃度が低いようです。
お米を食べる場合
玄米より白米の方がヒ素濃度が低いので、白米を選びましょう。
ただ、精米された状態で販売される白米は、表面が酸化していることが心配です。
できれば玄米を購入し、家庭用精米機で白米に精米し、よく洗って食べましょう。
ヒ素は水溶性なので、何度も洗うことで濃度を下げられるようです。
私が愛用する精米機です。
まとめ
ヒ素とは何か?
お米・魚介類・海藻類はヒ素濃度が高い
魚介類・海藻類のヒ素は人体から排出されやすい
特に気をつけるべき食品は「玄米」と「ひじき」
ヒ素の人体への影響
妊婦・赤ちゃん・子どもへの影響
グルテンフリー・マクロビオティックをしている人は要注意
お米の代替品
お米を食べる場合の工夫
について説明しました。
日本人の主食であるにもかかわらず、日本はヒ素濃度最大基準値を設けていない、ヒ素と同じく有害な「カドミウム」の土壌汚染の問題など、少し心配です。
「Arsenic In Rice: How Concerned Should You Be?(米にヒ素:どのくらい気をつければいい?)」という記事を参考にしましたが、この記事には結論として、「米を食べるのは週1回ほどにとどめて、あとは代替品を食べた方がいい」とありました。
ヒ素の摂取も、基準を超えなければ体への影響もそこまで心配ないようです。
主食の90%は白米を食べている私は、「米を食べるのは週1回」というのは厳しいので、家庭用精米機で精米し、よく洗い、デトックスになる食べ物やサプリメントを摂取していこうと思います。
活性炭は体内のヒ素を含む重金属を排毒してくれます。
・お米をよく食べる人
・妊娠している人
・赤ちゃんや小さいお子さんのお母さん
・グルテンフリーの食生活の人
・マクロビオティックをされている人
・食の安全に興味がある人