アトピー性皮膚炎の診断を受けると、ほぼ例外なく処方されるステロイド。
大抵医師の「ステロイドは正しく使えば怖い薬ではないから。」というセリフと共に、最初は弱いステロイドが処方され、アトピーの湿疹は綺麗に消えます。
ところがしばらくすると再発。
またステロイドを塗ります。
今度は最初に使った量では効果がなく、多めに塗ったら消えました。
しかし、塗るのをやめるとまた再発。
塗り続けていたら、弱いステロイドでは効かなくなってきます。
医師に相談すると、もう少し強いステロイドが処方され、こちらは効果が出ます。
しかし、しばらくするとこのステロイドも効かなくなり・・・
アトピー性皮膚炎でステロイドを使うと、このループに陥る人が多く、最近はこのループを断ち切るために「脱ステロイド(脱ステ)」をした人、している人のブログなどネット上の情報も増えてきました。
この状況は日本だけではなく、海外でも同じように苦しむ人がいます。
この記事では、アメリカ発祥の「ITSAN・国際ステロイド外用剤依存ネットワーク」という脱ステの自助グループについて紹介しています。
脱ステのやり方などについては省略していますので、ご了承ください。
海外の脱ステ事情
ITSAN・国際ステロイド外用剤依存ネットワーク
自信も脱ステを経験した、脱ステの第一人者であるマーヴィン・ラパポート医師とその患者であるケリー・パレスさんという方が2009年にインターネット上から始めた脱ステの自助グループが大きくなり、国際ステロイド外用剤依存ネットワーク(ITSAN「International Topical Steroid Addiction Network」)ができたようです。
↓英語
↓日本語
ITSANの英語の方のサイトのトップページにあるビデオによると、他の似たような団体では製薬会社のスポンサーを受けているところもあるようですが、ITSANはそう言ったことはなく、純粋にステロイド依存に苦しむ人たちの集まりということです。
サイトに「The Eczema Company」というアトピー治療のクリームや手袋を販売しているサイトのURLがコーポレートパートナーとして貼ってありますが、金銭の取引があるのかどうかはわかりませんでした。
ITSAN運営メンバーのほとんどが脱ステ経験者で、上記のThe Eczema Companyもアトピーの息子を持ったお母さんが始めた会社のようなので、非営利団体ということは間違いないようです。
ITSANの掲げる問題提起
●ステロイドの怖い副作用を、医師が患者に伝えていないこと。
●たった2週間の使用でステロイド依存に陥る可能性を、医師が患者に伝えていないこと。
●重症の依存になると、ステロイドの内服も余儀なくされるということ。
●ステロイドの依存性について知らない医師がいるということ。
●ステロイドの依存性を認めたくない医師がいるということ。
●医師が製薬会社の主張にしか耳を傾けないこと。
●ロコイド(ヒドロコルチゾン酢酸エステル)は医師の診断なしでも薬局で購入できてしまうということ。
RSS(Red Skin Syndrome)赤い皮膚症候群という言葉がよく出てきますが、これはステロイド依存者がステロイドの使用をやめた際(一時的にやめることも含む)に、皮膚が赤くなり非常に辛い状況になることを指しますが、ITSANはこれを「現代の医療の責任」としています。
壮絶な脱ステ体験談の数々
↑このページには海外の脱ステ体験談が写真付きで掲載されています。
日本語のサイトはITSAN創立者のケリー・パレスさんの体験談しか出ていませんが、英語のサイトではITSANメンバーの体験談が数多く掲載されています。
名前、年齢、ステロイド離脱歴があり、写真もたくさん出ているので、英語ですが様子は伝わってきます。
どの方も壮絶な脱ステを経験され、最終的にはアトピーが完治しているようです。
ステロイドがアトピーを誘発する
脱ステ体験談を読んでいると、「Steroid induced eczema」という言葉が出てきます。
これはステロイドを使用したことでアトピーが悪化する状態のことで、特にまぶたにステロイドを塗った場合、アトピーが顔中に広がってしまったという人が多いようです。
まとめ
アメリカ発祥の「ITSAN・国際ステロイド外用剤依存ネットワーク」という脱ステの自助グループについて紹介しました。
海外でも日本と同じように、アトピーと診断されたら簡単にステロイドが処方され、医師はその依存性を患者に伝えるどころか認識すらしていない、脱ステのサポートをしてくれる医師も少ないので、患者はITSANのようなお互いを助け合うグループに参加し、脱ステに取り組むという状況が分かりました。
みなさんリバウンドに苦しみ、外出もできないような状態を乗り越えて完治されているようです。
苦しいリバウンドを乗り越えるために、自助グループのサポートは、情報の共有とともにかなりメンタルの支えになるかと思います。
ITSANはFacebookでもコミュニティがあります。
・脱ステ中の人
・脱ステをしようとしている人
・アトピー性皮膚炎にステロイドを使おうか迷っている人
・アトピー性皮膚炎のステロイド使用に疑問を持つ人