アシュワガンダは、インドの伝統医学アーユルヴェーダで2500年以上使われてきたハーブです。
インドの高麗人参とも呼ばれるアシュワガンダは、滋養強壮やストレス緩和などの効能が知られていますが、それはほんの一部でそれ以外にも様々な効能があります。
この記事では、アシュワガンダとは?アシュワガンダ10の効能、含まれる栄養素、摂取方法、注意点、副作用について説明しています。
アシュワガンダとは?
アシュワガンダは、薬効成分を持つナス科の植物で、根と葉が病気の治療に使われてきました。
アシュワガンダはアダプトゲン(体力や抵抗力を高める滋養強壮効果があり、ストレスに対する体の適応能力や抵抗力を高める効果がある薬草や薬草由来成分)のハーブです。
他にアダプトゲンの作用があるものとして、高麗人参や霊芝、マカ、冬虫夏草などがあります。
アシュワガンダの効能
1、甲状腺機能の改善
アダプトゲンハーブには、甲状腺機能を改善する作用があります。
アシュワガンダにも甲状腺機能を改善したという研究結果があります。
2017年の甲状腺機能の低下が見られる50人の患者に参加してもらった実験では、毎日600ミリグラムのアシュワガンダの根のエキスを8週間摂取したところ、プラセボ摂取の対象グループと比較して、血清甲状腺刺激ホルモン(TSH)および、甲状腺ホルモンであるサイロキシン(T4)のレベルを大幅に改善することを発見しました。
2、副腎疲労の改善
副腎は、ストレスに応じてホルモン、特にコルチゾールとアドレナリンを放出する臓器です。
肉体的、精神的ストレスが溜まることで、副腎の機能が低下することを副腎疲労と言います。
アシュワガンダを摂取することで、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を調節してもらえます。
慢性的にストレスが溜まっている人に参加してもらった実験では、プラセボ摂取のグループに比べ、アシュワガンダを摂取したグループは、
●ハミルトンうつ病評価尺度(1960年に英国のマックス・ハミルトンが考案した心理検査)
●コルチゾールレベル
●脈拍数
●血圧
●C反応性タンパク質(体内で炎症反応や 組織の破壊が起きているときに血中に現れるタンパク質)
において、改善が見られました。
3、不安とうつを軽減
不安やうつに対しても、アシュワガンダが改善の効果を示す研究結果があります。
一般的な精神科で処方するロラゼパム(抗不安薬)とイミプラミン(抗うつ剤)に匹敵する効果が得られ、副作用の心配はありません。
不安障害・うつ症状のある75人に参加してもらった研究では、
1つのグループは、食事療法、深呼吸リラクゼーション、マルチビタミン摂取、1日2回300ミリグラムのアシュワガンダを摂取してもらいました。
もう1つのグループは、心理療法、深呼吸リラクゼーション、1日2回プラセボを摂取してもらいました。
12週間後に不安レベルを測定したところ、アシュワガンダを摂取したグループの不安スコアは55%減少し、もう一方のグループの不安スコアは30.5%減少しました。
また、アシュワガンダのグループは、精神的健康、集中力、社会的機能、活力、疲労、全体的な生活の質において、プラセボのグループに比べ、大きな改善が見られました。
ロラゼパム(抗不安薬)とイミプラミン(抗うつ剤)には、眠気、不眠症、性欲減退、食欲増進などの副作用が出る場合があることに対し、アシュワガンダ摂取にはそういった副作用は見られませんでした。
また、アシュワガンダには睡眠の質を高める効果もあります。
4、血糖値を調節
アシュワガンダの根と葉の抽出物両方が、糖尿病ラットに対し、正常な血糖値を保つ作用を示しました。
糖質過多な食事を与えたラットにアシュワガンダの抽出物を投与したところ、インスリン感受性の改善と、炎症抑制の効果が見られました。
血糖値の乱高下が原因で起こる砂糖への渇望の症状にも、アシュワガンダは有効と言えるようです。
5、がんの治療と予防
アシュワガンダには抗腫瘍効果があり、その免疫増強能力と抗酸化能力により、腫瘍細胞の成長を抑える効果が期待されています。
動物実験では、アシュワガンダががん細胞と戦う白血球数を増加させたという結果があります。
抗がん剤を使った化学療法では、体内の白血球数は減少する傾向があり、がん患者の感染症のリスクが上がる問題がありますが、アシュワガンダ摂取では免疫機能が向上する利点が得られます。
6、脳細胞の変性を軽減
アシュワガンダ摂取が、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患を引き起こす可能性のある細胞変性から脳を保護します。
アシュワガンダの抗酸化作用が、脳の老化の原因となるフリーラジカル(活性酸素)を除去するため、記憶力向上の効果も期待できるようです。
アシュワガンダを含めたナス科の植物に存在するウィタノリドというステロイドは、認知機能を改善させます。
7、免疫機能を高める
アシュワガンダは、体のストレスホルモンを減らすことができるアダプトゲンとして機能するため、免疫機能を高め、体内の炎症を抑えるのに役立ちます。
また、炎症誘発性サイトカインを抑制することにより、体を炎症が起きにくい環境に保ってくれる働きがあります。
カンジダ症やリーキーガット症候群など、腸内に炎症が見られる症状に対しても、効果が期待できます。
8、持久力の向上
アシュワガンダの脳機能を改善する効果、ストレスホルモンを低下させる効果により、集中力の向上、やる気の向上、スタミナの向上の効果につながります。
インドで行われた実験では、健康な成人アスリートにアシュワガンダを摂取してもらい、身体運動のピーク時の酸素消費量を測定したところ、心肺持久力の向上が見られました。
9、筋力を高める
アシュワガンダは、アスリートにとって、持久力の向上だけではなく、筋力を向上させる利点もあります。
2015年の研究では、筋トレ経験がほとんどない18歳から50歳までの57人の男性が参加しました。
300ミリグラムのアシュワガンダの根のエキスを1日2回、8週間摂取したグループは、ベンチプレスと下肢伸展運動の筋トレを行ったところ、プラセボのグループに比べ、腕と胸の筋肉サイズの大幅な増加、運動誘発性の筋肉損傷の大幅な減少、テストステロンレベルの増加、体脂肪率の大幅な減少を示しました。
筋肉量が増加しても、最高のパフォーマンスレベルで動作するには、関節が強くなければなりません。アシュワガンダもそれを助けているようです。
アシュワガンダの抗炎症作用が、関節炎やリウマチにも有効ということです。
10、性欲の促進と不妊の改善
アーユルヴェーダでは、アシュワガンダは性欲促進のバイアグラのような使い方もされています。
テストステロンレベルを上げる効果があるため、男性の生殖能力を改善するために使用されます。
不妊治療においては、男性の精子数に問題がある場合、アシュワガンダの効果が期待できるようです。
不妊男性46人が参加した研究では、1日3回、675ミリグラムのアシュワガンダまたはプラセボが90日間投与されました。
90日後、アシュワガンダが投与された参加者のグループは、精子数が167%増加、精液量は53%増加、精子運動性は57%増加したことが確認されました。
プラセボグループでは、改善は最小限でした。
アシュワガンダに含まれる栄養素
●たんぱく質
●食物繊維
●炭水化物
●鉄
●カルシウム
●カロチン
●ビタミンC
●フラボノイド
●カタラーゼ
●スーパーオキシドジスムターゼ
●アルカロイド
●サポニン
●アミノ酸(トリプトファンを含む)
●ステロール
●タンニン
●リグナン
●トリテルペン
アシュワガンダの摂取方法
アシュワガンダは、サプリメントでは粉末、またはカプセルの形態、もしくはお茶として摂取できます。
サプリメント
アシュワガンダの有効成分であるウィタノリドの含有量が、1〜10%の範囲であるものを選ぶようにしてください。(表記がない製品もあります。)
ウィタノリドの含有量が高いほど、高い効果が得られます。
用量・服用のタイミングは製品の記載に従ってください。
目安としては、ウィタノリドの含有量が5〜10%のもので、1日アシュワガンダ1,000〜1,500ミリグラムです。
専門家によっては、1日6,000ミリグラムを推奨する意見もあります。
アシュワガンダの粉は、味・香り共にそこまでいいものではありません。
粉を直接飲んでもいいのですが、お茶やスムージーなどに混ぜて飲むことが一般的なようです。
楽天・アマゾン・ヤフーショッピングでは、いいアシュワガンダのサプリメントが見つけられませんでした。
↓こちらはiHerbで購入できるカプセルのサプリメントです。ウィタノリド含有量は8%です。
↓こちらもiHerbで購入できる粉末のアシュワガンダです。
お茶
アシュワガンダの根と葉、両方ともお茶として利用できます。
アシュワガンダ100%のお茶はあまり美味しくはないため、シナモン・生姜・ターメリックなどとブレンドされたお茶が一般的です。
化学薬品と違い、即効性は期待できないため、継続した摂取が必要とのことです。
↓トゥルシー(ホーリーバジル)とブレンドされたアシュワガンダのお茶です。
アシュワガンダ摂取の注意点・副作用
アシュワガンダの有効成分・ウィタノリドは、
●ステロイドラクトン(ウィタノリドA)
●ウィタフェリンA
●ウィタノン
で構成されています。
この構成は、アシュワガンダ特有のもので、アシュワガンダの植物の部位によって構成が微妙に異なります。
例えば、葉の抽出物は通常、根の抽出物よりも高いレベルのウィザフェリンAを含まれています。
アシュワガンダは安全なハーブですが、
●胃のむかつき
●嘔吐
●下痢
と言った副作用が出ることがあります。
最初は少なめの用量から始め、副作用が見られるようなら、摂取をやめます。
副作用が見られないようでしたら、少しづつ用量を増やします。
妊娠中・授乳中の方の摂取については、安全を確認した研究結果がまだないようです。
専門家に相談してみてください。
まとめ
アダプトゲンのハーブであるアシュワガンダの効能、含まれる栄養素、摂取方法、注意点、副作用について説明しました。
同じくアダプトゲンである、高麗人参とマカの根。
アシュワガンダ、高麗人参、マカの根は、どれも強力な抗酸化物質が含まれており、記憶と脳機能の改善、気分を高め、性機能を改善し、血糖値を調節し、炎症を抑え、エネルギーレベルを高めることが知られています。
この3つの植物の決定的な違いは、「味」なんだそうです。
アシュワガンダは、苦い味と馬の匂い。
高麗人参は、苦くスパイシーな味。
マカの根は、土っぽい、ナッツのような味。
私は、アシュワガンダ、ごぼう、生姜、ターメリック、タンポポの根、チコリ、サルサパリラ、マシュマロウ、アストラガスの根、シナモン、リコリス、カルダモン、シベリア人参、フェネルなど、様々なものとブレンドされたお茶を愛用しています。
色々ブレンドされているため、味はごぼうが強く、匂いもいい香りで、馬臭いと思ったことは1度もありません。
現代人に有益な効能をたくさん持つアシュワガンダ、是非試してみてください。
・疲れている人
・ストレスが溜まっている人
・運動する人
・糖尿病の人
・風邪をひきやすい人
・うつっぽい人
・不妊症の男性
・がん患者
・カンジダ症の人