ビタミンやミネラルは健康を維持するために重要な栄養素ですが、摂取の仕方により、ほとんど体が吸収できていない場合があります。
逆にポイントを押さえておくと、体内での吸収率がはるかに高くなります。
結論から言うと、食事からビタミン・ミネラルを摂取することが一番吸収率がいいです。
この記事では、なぜ食事からのビタミン・ミネラル摂取が一番吸収率がいいのか、サプリメント、特にミネラルのサプリメントはキレートという吸収率を上げる工夫が施されているものがあるので、キレートの種類と共に吸収率のいい摂取の仕方を紹介します。
食事からのビタミン・ミネラル摂取
凝縮されて栄養素を摂取できるサプリメントは効率がいいように見えますが、特定の栄養素は他の栄養素がないと吸収されない、または拮抗する、過剰摂取の問題などがあります。
サプリメントでそのバランスを取ることは難しく、一般的に食事から摂取する栄養素は自然とバランスが取れている傾向にあります。
例えば、ただ摂取しても吸収が難しいミネラルは、アミノ酸と一緒に摂取することで吸収率が上がります。
アミノ酸は肉類に豊富に含まれます。
脂溶性ビタミンは、食事に含まれる油と一緒に摂取することで吸収率が上がります。
野菜を皮・葉・根まで食べる、肉や魚を捨てる部分ができるだけないように食べることで、サプリメントでは再現できない栄養バランスが取れます。
また、食事から摂取する栄養には、サプリメントに入っていない微量ミネラルを摂取できることも利点です。
サプリメントはあくまで補助と考え、できるだけ食事から栄養素を摂取することが一番効率がいいと言えます。
ビタミンサプリメント
水溶性ビタミン(ビタミンC、B群)は過剰に摂取しても尿から排出されるため、過剰摂取の心配はそれほどありません。
体内で貯蔵されないため、1度にたくさん摂取するよりも、分けて摂取する方が効果的です。
脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)は過剰摂取に注意する必要があります。
脂溶性ビタミンの過剰摂取は脂肪に蓄積され、時間の経過とともに体内に蓄積し、ビタミン毒性の症状を引き起こす場合があります。
(特定の症状の治療の場合に高用量のビタミンを投与することはあります。)
ビタミンA
ビタミンAは、目の健康維持や皮膚、粘膜の免疫力の向上を助け、抗酸化作用があります。
野菜をたくさん食べる人な場合は、βカロチンは必要ないのですが、野菜をあまり食べない人の場合、ビタミンA吸収のためβカロチンを摂取することが推奨されます。
ビタミンAは比較的吸収率が高い栄養素ですが、亜鉛欠乏症はビタミンAの吸収を阻害します。
ビタミンB群
ビタミンB群は、脳や神経、皮膚などを健康に保つビタミンです。
体に貯めておくことができないため、毎日食事やサプリメントから摂取する必要があります。
人によってビタミンB群を体内で使用可能にする経路に欠陥がある人がいます。
(これはMTHFR遺伝子突然変異と呼ばれ、人口の50-75%に存在すると言われています。)
MTHFR遺伝子突然変異がある場合、メチル化されたビタミンB群のサプリメントを選ぶ必要があります。
ビタミンB1(チアミン)
ビタミンB1(チアミン)は、炭水化物 (糖質)の代謝を促す、疲労回復作用のあるビタミンです。
チアミンは通常水溶性ですが、ベンフォチアミンという形態のチアミンは、脂溶性の体内で利用しやすい形態になっているチアミンです。
標準のチアミンサプリメントよりも5倍吸収性が高く、腸壁から直接細胞に吸収されます。
タンニンと呼ばれるコーヒーと紅茶に含まれる成分は、チアミンの吸収にを阻害する可能性があることに注意してください。
ビタミンB2(リボフラビン)
ビタミンB2(リボフラビン)は、他のビタミンB類の変換と活性化において重要な役割を果たします。
例えば、ビタミンB6の活性化、トリプトファンのナイアシンへの変換、葉酸塩などの活性型への変換などです。
また、リボフラビンは脂肪およびグルコース代謝、赤血球合成、特定のホルモンの生成と調節において決定的な役割を果たします。
他のビタミンBと同様に、リボフラビンが体内で利用されるためには、リボフラビンをその活性型であるリボフラビン5′-リン酸(R5P)に変換しなければなりません。
そのため、リボフラビン5′-リン酸の形態が体内で使用しやすい形態と言えます。
ビタミンB3(ナイアシンアミド・ナイアシン)
ビタミンB3は、糖質や脂質を燃やしてエネルギーを作り出すときや、アルコールを分解するときに働く酵素を助ける働きがあり、ナイアシンアミド(ニコチンアミド)とナイアシン(ニコチン酸)という2つの形態があります。
どちらの形態も、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の前駆体となります。
生体内で、ナイアシンはトリプトファンから生合成されます。
そして腸内細菌もトリプトファンからナイアシンの合成をしてくれます。
通常の食生活では欠乏しにくく、サプリメントが必要になるケースはトリプトファン含量が少ないとうもろこしを主食にする場合などです。
ナイアシンは過剰症では紅潮などナイアシンフラッシュを生じるケースがありますが、ナイアシンアミドはフラッシュを回避でき利点も多いのですが、肝臓に負担がかかる場合もあるようです。
ビタミンB5(パントテン酸)
ビタミンB5(パントテン酸)は、エネルギーの代謝を助ける働き、抗ストレス効果や、動脈硬化を予防する効果があります。
通常の形態よりもd-パントテン酸カルシウムの方が、細胞への酸素を増やし運動中の乳酸の形成を減らすことがわかっています。
ビタミンB6(ピリドキシン)
ビタミンB6(ピリドキシン)は、たんぱく質の分解・合成を助け、皮膚や粘膜の健康維持効果があり、神経伝達物質の合成、ホルモンのバランスを整える働きもあります。
P5Pまたはピリドキサール5′-リン酸という形態で体内で消費されます。
そのため、ビタミンB6サプリメントを選ぶ際は、P5Pの形態のものが体にとって使用しやすい形態と言えます。
ビタミンB12
ビタミンB12は、悪性貧血の予防や神経の働きに不可欠な栄養素で、DNAやたんぱく質の合成の調節や補酵素として様々な代謝に関わっています。
メチルという形態のビタミンB12が吸収しやすい形態です。
一番吸収しやすいのは皮下注射ですが、その次に舌下錠が吸収しやすくなっています。
ビタミンC
ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持、抗酸化作用、免疫の強化、ストレスに対する抵抗力を高める効果など、様々な働きをもちます。
ビタミンCは、一般的なサプリメントの形態よりも、アセロラパウダー、アムラパウダーなど自然に近い形態の方が体にとって使用しやすくなります。
柿の葉のお茶もビタミンC含有量が高くなっています。
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ビタミンD
ビタミンDは、骨や歯を丈夫にする効果、糖尿病を予防する効果、免疫力を高める効果などがあります。
日光浴から皮膚で合成されるビタミンDは、サプリメントの場合ビタミンD2とD3がありますが、D3の方がD2に比べ血中濃度が3倍維持されやすいためD3の方が効果的という意見があります。
ただD3は動物由来である場合が多いため、ビーガンの人はD2を選ぶことになります。
ビタミンDは舌下からよく吸収されるため、液体のビタミンDドロップがオススメです。
ビタミンDとマグネシウムは、一方が欠乏するともう一方も欠乏しやすくなります。
ビタミンE
ビタミンEは、強い抗酸化作用を持つビタミンのひとつで、様々な害を与える活性酸素から体を守る効果があります。
大きく分けるとトコフェロールとトコトリエノールの2つに分けられ、さらにそれぞれα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の4種類に分けられるので合計8種類存在します。
d-αトコフェロール
dl-αトコフェロール
のように、一番最初に「d-」「dl-」とつくのは、「d-」が天然、「dl-」が合成されたビタミンEという意味です。
両方に利点と欠点がありますが、「d-」の天然の方を選びましょう。
体が使用しやすい形態のビタミンEは、d-αトコフェロールです。
サプリメントとしてもこのタイプで出回っていますが、これよりもさらにいいのはd-αトコフェロールに、d-アルファ、d-ベータ、d-デルタ、d-ガンマトコトリエノール、この4種類を全てを加えられたものです。
トコフェロールとトコトリエノールが多ければ多いほど、それはよりバランスが取れています。
GMO大豆を含むビタミンE製品は意外と多く出回っていますが、避けてください。
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ビタミンK
ビタミンKは、血液を凝固させ止血する効果、骨の健康を保つ効果があります。
ビタミンKには、ビタミンK1、K2、K3の3種類があります。
吸収率、利用率が一番高いのはK2で、K2は発酵食品にも含まれています。
また、脂溶性ビタミンであるビタミンKは、油と一緒に摂取することでより吸収率を上げることができます。
ミネラルサプリメント
いくつかのミネラルは体に吸収されにくいため、キレートという加工を施すことによって吸収率が上がります。
キレートとは、ミネラルイオンをアミノ酸などの分子で挟んで化合物にすることを言います。
カルシウム
カルシウムは、骨や歯をつくる働き、骨粗しょう症の予防効果、血液が固まるのを助ける効果があります。
クエン酸カルシウム
リンゴ酸カルシウム
オロチン酸カルシウム
以上の3つが吸収率の良い形態です。
炭酸カルシウムはあまり吸収率がよくありません。
牡蠣の殻から抽出したカルシウムは避けてください。
牡蠣の殻に鉛が含まれている可能性があります。
また、カルシウムは他のミネラルの吸収を阻害することがあるため、他のミネラル摂取の30分前、または後に摂取するようにしましょう。
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カルシウム単品のサプリメントなので、他のミネラルとずらしたタイミングで摂取できます。
ヨウ素(ヨード)
ヨウ素は、人間の体内で甲状腺に多く存在し、甲状腺から分泌されるホルモンの主要な構成成分として働いています。
昆布やワカメ、ヒジキなどの海藻類や魚介類に多く含まれており、海藻を食べる習慣のある日本ではヨウ素が不足する心配はほとんどありません。
ヨウ素とセレンはバランス良く摂取することが大切で、一方が欠乏するともう一方も欠乏しやすくなる関係にあります。
ヨウ素は海藻から摂取するか、サプリメントの場合はヨウ化カリウムの形態が安定しています。
マグネシウム
マグネシウムは、体内で約300種類以上もの酵素の働きを助けるミネラルです。
マグネシウムのサプリメントは、キレートの種類によって吸収率が大きく変わります。
●マグネシウムL-トレオネート
●グリシン酸マグネシウム
●リンゴ酸マグネシウム
●クエン酸マグネシウム
以上の形態のマグネシウムは比較的吸収率が高くなっています。
また、エプソムソルト、マグネシウムオイルで経皮吸収する方法も吸収率が高いです。
●酸化マグネシウム
●塩化マグネシウム
●炭酸マグネシウム
以上の形態のマグネシウムは、経口摂取の場合、吸収率が比較的悪くなります。
マグネシウムとビタミンDは、一方が欠乏するともう一方も欠乏しやすくなります。
亜鉛
亜鉛は、たんぱく質・核酸の代謝を助け、皮膚や粘膜の健康を保つ働きがあります。
●ピコリン酸亜鉛
●グリセリン酸亜鉛
●モノメチオニン亜鉛
以上の形態の亜鉛は比較的吸収率が高くなっています。
●硫酸亜鉛
は、安価ですが吸収率は低くなります。
亜鉛と銅は体内で貯蔵をめぐって競合します。
一方の過剰摂取でもう一方が枯渇する可能性があります。
銅の毒性は亜鉛の毒性よりも一般的であるため、銅の過剰摂取に注意してください。
また、亜鉛欠乏症はビタミンAの吸収を阻害します。
セレン
セレンは、活性酸素から体を守り、アンチエイジング効果があります。
●セレノメチオニン
は、吸収率が90%以上と高めです。
●セレン酸塩
●亜セレン酸塩
は吸収率が低い傾向にあります。
ヨウ素とセレンはバランス良く摂取することが大切で、一方が欠乏するともう一方も欠乏しやすくなる関係にあります。
鉄
鉄は、必須ミネラルのひとつで、赤血球を構成する成分となり全身の細胞や組織に酸素を運ぶ役割をしています。
鉄にはヘム鉄という動物性の鉄と、非ヘム鉄という植物性の鉄の2種類があります。
ヘム鉄の方が非ヘム鉄よりも吸収率は高くなります。
母乳にも含まれるラクトフェリンという糖タンパク質を併用することで、鉄の吸収を促進できます。
また、ビタミンCと一緒に摂取することでさらに吸収率を高めることができます。
クロム
クロムは、血糖値、血圧、コレステロール値を下げる働きに関わる必須ミネラルです。
体内で起こる代謝を助けます。
●ピコリン酸クロム
●ニコチン酸クロム
は、吸収率が高い形態です。
●塩化クロム
は、安価ですが吸収率は低くなります。
まとめ
食事に含まれる栄養素が一番バランス良く効率的に摂取できます。
サプリメントは食事の補助という意味で使用し、他の栄養素とのバランスを考慮し、吸収率がいい形態のものを摂取する必要があります。
サプリメントを選ぶ際は、添加物の種類にも気をつけたいところです。
・栄養素を効果的に吸収したい人
・ビタミンやミネラルをサプリメントで摂取している人