自然の中でマイナスイオンを浴びることに健康促進効果があるとして、空気清浄器、エアコン、ヘアドライヤーなどのマイナスイオン電化製品が次々と発売されるほどのマイナスイオンブームが起こりました。
マイナスイオンは本当に効果があるのでしょうか?
自然のマイナスイオンではなく、マイナスイオン電化製品でも効果があるのでしょうか?
この記事では、マイナスイオンとは何か、マイナスイオンによって健康効果が出るメカニズム、マイナスイオンが存在する場所、マイナスイオン発生装置で作られたマイナスイオンも健康効果があるのかについて説明しています。
マイナスイオンとは?
まず、イオンとは何か?
イオンとは、プラスの陽子とマイナスの電子が同じ数集まってプラスマイナス0の状態になっている原子が、電子がくっつたり離れたりしてプラス、またはマイナスの電荷を帯びた状態になっていることを言います。
化学で習った元素周期表に出てくる H や He などが原子です。
原子核の周りにある電子は、常に動き回り落ち着きがない状態にあります。
原子を取り巻く電子は、電子殻という軌道の上をぐるぐる回っています。
電子殻は層になっており、それぞれの殻にいくつの電子を収容できるかの数が決まっています。
上の表の18属の原子だけは、最外殻電子が決められた数とぴったり一致し安定した状態になっていますが、他の属の原子は電子をあげたりもらったりすることで18属のように安定することができます。
水素原子を例にすると、
最外殻に電子が1個ある状態では安定しないため、0個か2個で安定することができます。
その際、電子を放出してプラスの電荷を帯びたものがプラスイオン、
電子を1個もらいマイナスの電荷を帯びたものがマイナスイオンになります。
マイナスイオンはアニオンとも呼ばれます。
1属、2属、13属は、プラスイオンを作りやすい傾向にあり、金属が多くなっています。
14属は、プラスでもマイナスでもどちらでもいいという立ち位置です。
15属、16属、17属は、マイナスイオンを作りやすい傾向にあり、非金属が多くなっています。
18属は希ガスと呼ばれ、安定しているためイオンは作りません。
イオンは、熱や摩擦などで原子が電子を獲得したり喪失したりと、簡単に作られます。
健康効果があるマイナスイオンとは?
周期表を見ただけでも18属以外の原子はイオンを作れることがわかりましたが、一般的に健康効果があるマイナスイオンは、15属、16属、17属のイオン全部ではなく、H– (マイナス水素イオン)や OH– (マイナス水酸化イオン)がいわゆる健康効果のあるマイナスイオンになります。
動物の体は、酸化と還元を繰り返し生命を保っており、人間、特に現代人はこのバランスが崩れ、体内の酸化ストレスが過剰になって慢性疾患を引き起こしていると言われます。
怪我、有毒なものの摂取、感染などで体のどこかに問題が起きた場合、その部位に炎症が生じます。
炎症は体の防御反応の一つで、プラスに帯電した不対電子であるフリーラジカル(活性酸素)を生成し、炎症が起きた部位に送ります。
フリーラジカルは炎症部位やその周辺から電子を奪う、つまり酸化させる性質があり、炎症を部位を酸化させて処分することで問題を解決しようとします。
電子を奪ったフリーラジカルは中和されますが、現代人の体は問題が多く、フリーラジカルが過剰に生成されすぎて酸化ストレスが起きてきます。
H– や OH– などのマイナスイオンは、この過剰なフリーラジカルに電子を与え中和させることで、抗酸化物質としての働きをします。
電子を失ったマイナスイオンは、中性の H や OH になり、水(H2O)という無害なものになります。
空気中のプラスイオンとマイナスイオンは、その85%が経皮吸収、15%が吸入で体に取り込まれます。
マイナスイオンの健康効果
マイナスイオンの健康効果は、以下の通りです。
●ストレスの軽減
●リラックス効果
●睡眠の質の改善
●体をアルカリ性に傾ける
●髪の毛や肌の健康を促進
●代謝の促進
●免疫機能の促進
●抗菌作用
●慢性炎症の改善
活動電位により機能するニューロン(神経細胞)は、神経の興奮をコントロールしています。
マイナスイオンの効能で最も代表的なリラックス効果、ストレス解消効果は、マイナスイオンの電子により交感神経と副交感神経のバランスが取れ、セロトニンレベルが上がるためです。
神経伝達系や代謝など、体のあらゆる機能に関係する化学反応は酸化と還元、つまり電子と陽子の交換で成り立っており、電子機器に囲まれ自然と分断された生き方をする現代は、電子の不足により細胞内のDNAやたんぱく質の破壊が誘発され様々な体調不良を引き起こされています。
マイナスイオンの多い環境にいるということは、呼吸や経皮吸収で電子を摂取することができ、その結果、上記の健康効果が得られます。
大地に素肌で触れるアーシングも、同じ効果を同じ原理で得ることができます。
マイナスイオンの季節性感情障害(SAD)への効果の研究では、高濃度のマイナスイオンへの曝露が、紫外線照射療法同様、患者の抑うつ症状の一部を改善したことが示されました。
別の研究では、マイナスイオンへの曝露がより高いエネルギーレベルを維持することが示されました。
マイナスイオンが存在する場所
自然界でマイナスイオンが多く存在する場所は、以下の通りです。
滝、波打ち際など
滝、川、波打ち際、雨の日など、マイナスイオンは水が岩や地面などに打ち付けられてできるミストの中に多く存在します。
このミストが周りの空気をマイナスイオンに変えます。
レナード効果
水が何かにぶつかり粉砕、急激に微粒化されると、大きい水粒子はプラスに帯電して落下し、小さい水粒子はマイナスに帯電して周りの空気をマイナスに帯電させるという現象が、レナード効果です。
ドイツの物理学者P.レナード(1892)が発見しました。
H₂Oが物理的に粉砕されることでイオン化し、H– や OH– などが生成されます。
水の勢いが激しいほどイオン発生量は多くなります。
公園の噴水や自宅のシャワーなどもマイナスイオンを発生させます。
森林
植物は成長するとき、多くのマイナスイオンを生成します。
植物が光を吸収しエネルギーを作り出すことを光合成と言いますが、光合成の副産物としてマイナスイオンが生成されます。
具体的には、光エネルギーを使って水と空気中の二酸化炭素から炭水化物を合成し、その際、大気中に酸素を放出します。
このプロセスで水が分解される際、プラスの水素イオン(H+)と酸素分子(O2)、そして電子(e–)が作られます。
この電子が空気中の原資と結合し、マイナスイオンを作ります。
太陽光線
太陽光線のUVがマイナスイオンを生成します。
太陽はコロナ放電により電子を放出しており、特に夕方の太陽光線はオゾン層との相互作用でマイナスイオンを生成します。
日光を浴びることはビタミンDの補給だけでなく、マイナスイオンも補給できるということになります。
雷の後
雲の中の水蒸気の摩擦によりイオンが発生し、プラスイオンは雲の上の方、マイナスイオンは雲の下の方に溜まります。
溜まったマイナスイオンが許容量を超えると、雷として空気中に放電されます。
雷の後の屋外の空気には、マイナスイオンが多く存在します。
火山活動
マイナスイオンは水によってだけではなく、火や熱によっても生成されます。
火山にはたくさんのイオンが存在し、火山活動によってプラスイオンとマイナスイオンが分離すると、空気中に放電され雷を起こすことがあります。
火山活動の結果である温泉は、電解質であるミネラルを含むため電導性が良く、マイナスイオンが豊富です。
また、焼け石に水をかけるタイプのサウナは、暖炉の火もマイナスイオンを生成します。
一部の食品
ほとんどの野菜や果物は H– のマイナスイオンを豊富に含みます。
アルカリ性食品 = マイナスイオン食品 と言えます。
特にマイナスイオンを多く含む野菜は、
●ブロッコリー
●キャベツ
●人参
●カリフラワー
●きゅうり
●ナス
●キノコ類
●かぼちゃ
●ほうれん草
●さつまいも
●トマト
など。
逆に H+ イオンを多く含む野菜は、
●とうもろこし
●オリーブ
●レンティル
●冬瓜
など。
H– を多く含む果物は、
●リンゴ
●アボカド
●バナナ
●ベリー類
●ブドウ
●オレンジ
●パイナップル
●桃
●イチゴ
●スイカ
など。
逆に H+ イオンを多く含む果物は、
●缶詰の果物
●ドライフルーツ
●加工された果物
など。
タンパク質にもマイナスイオンを多く含むものがあります。
●アーモンド
●栗
●キビ
●ホエイプロテインパウダー
など。
酸性食品と言われる肉や魚には、プラスイオンの方が多く存在します。
避けることはありませんが、必ずマイナスイオン食品も摂取するようにしましょう。
体の最適pHは 7.365 で、それが 7.2 という少し酸性寄りになっただけで体の機能不全が誘発されます。
そして基本的に、マイナスイオンは暖かい空気よりも冷たい空気に多く存在します。
そのため暖かい地域に住む人は、マイナスイオンの豊富なトロピカルフルーツを多く食べ体のpHを調整しますが、寒いところに住む人は、酸性食品である動物性たんぱく質を多く摂取しても体のpHを保つことができています。
プラスイオン
プラスイオンは、電子よりも陽子の数が多いイオンです。
有毒な化学物質、花粉、カビ、ペットのふけ、ほとんどの形態の汚染、有害な電磁波は、プラスに帯電しています。
特に大都市、高層ビルが建ち並ぶ場所、工業地帯では、プラスイオンが問題になります。
この有害なイオンは、呼吸の際に吸い込んだり、肌から吸収されます。
長期間のプラスイオンへの曝露は、喘息や気管支炎などの体調不良を引き起こす可能性があります。
プラスイオンを生成するものの例は、以下の通りです。
●テレビ、電話、コンピュータ、携帯電話などの電子機器
●蛍光灯
●有毒なカーペット、室内装飾品、塗料
●特に混雑した都市や工業地帯での大気汚染
長期間プラスイオンの多い場所にいると、気分が悪くなったり、鬱の症状を発症したり、炎症を促進すると言われています。
マイナスイオンは、プラスイオンを中和してくれます。
人工的に作られたマイナスイオン
それでは人工的にマイナスイオンを作ることはどうなのでしょう?
人工的に作られたマイナスイオンで、プラスイオンを中和できるのでしょうか?
マイナスイオン発生装置
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こちらのサイトの「Risks of negative ion exposure」によると、
マイナスイオン発生装置は、落雷のコロナ放電効果のようにマイナスイオンを噴射しますが、同時にオゾン粒子を放出している可能があることを指摘しています。
大気汚染の原因の一つでもあるオゾン粒子は、喘息や肺疾患の症状を悪化させる可能性があります。
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こちらのYouTubeビデオでは、マイナスイオン発生装置と、マイナスイオンを生成するといわれているヒマラヤソルトランプ を、イオンを研究する専門家がマイナスイオン検知器で測定しています。
結果は、
ヒマラヤソルトランプからはマイナスイオンは全く検出できず、
マイナスイオン発生装置からは少しだけ検出されましたが、オゾンも検出され、健康に有益であり有害であるという結果になりました。
しかも、
●マイナスイオン発生装置の恩恵を受けるには装置の近くにいなければいけない
●装置から発生するマイナスイオンが健康に効果を出すほど十分な量ではない
●発生したマイナスイオンは割とすぐに消えてしまう
などの問題があるため、マイナスイオン発生装置の購入は考えたほうがいいということでした。
マイナスイオン発生装置の効果については現在も研究が進められ、はっきりわからないことも多いようです。
医療用、業務用のマイナスイオン発生装置では高濃度のマイナスイオンの生成が可能なものもあるようですが、家庭用のものはそこまで強い効果は期待できない可能性があり、
マイナスイオンの恩恵を受けるなら、自然の中に出かけることが確実な方法になります。
マイナスイオン水
水は水素分子と酸素分子で構成されており、中性です。
水中の水素イオンと酸素イオンは水に電流を流すことで分離でき、一時的にマイナスの電荷が発生します。
これはあくまで一時的で、マイナスイオン水を飲むときには消えている可能性が高いです。
アルカリイオン水、○○イオン飲料なども同じです。
トルマリン
トルマリンは、結晶性のケイ酸ホウ素鉱物で、緑、赤、ピンク、青など様々な色で存在します。
宝石としてのトルマリンは、高価です。
トルマリンは、微弱な電荷と赤外線放射を生み出しますが、人体に有益なレベルのマイナスイオンは、熱にさらされた時、または圧力をかけられた時にのみ生成されます。
熱や圧力がない環境では、マイナスイオンは生成されません。
まとめ
電磁波など有害なプラスイオンにさらされることが多い現代人は、体の組織を機能させるのに必要な電子が圧倒的に欠乏している状態にあり、慢性炎症をはじめとした体調不良の原因になっています。
電子を多く持つマイナスイオンはプラスイオンを中和する効果があり、健康に有益な様々な効果があります。
マイナスイオンが多く存在する場所は圧倒的に自然の中であり、自然の中にできるだけ長い時間いる、定期的に自然の中に行くことで、より効果を得られます。
より多くの電子を補給するためには、素肌で大地を触る「アーシング」と共に行うことで、高い効果を得られます。
アーシングについては、↓こちらの記事に詳しく書いています。参考にしてください。
http://h-minus-ion.vpinf.com/
・マイナスイオンが発生する電化製品の購入を考えている人
・電磁波対策を考えている人
・マイナスイオンは嘘なのかを知りたい人