蜂蜜は抗菌作用やデトックス作用があり血糖値も上げにくいため、健康的な甘味料の代表です。
カンジダ症の人は腸内にカンジダのバイオフィルムが形成されている状態ですが、蜂蜜はクォーラムセンシングという細菌通信妨害により、バイオフィルム形成を阻害します。
但しこれは生蜂蜜、非加熱蜂蜜に限った効能で、蜂蜜が加熱されるとほとんどの効能はなくなり、さらにHMF(ヒドロキシメチルフルフラール)という有機物が発生します。
HMFという有機物は、今までHFCS(異性化糖・高果糖コーンシロップ、ブドウ糖果糖液糖)での発生についての懸念がメインでしたが、近年蜂蜜や果物からも見つかり新しい汚染物質として注目を集めています。
このHMFとはどんな有機物なのでしょう?
この記事では、HMFは代謝により毒素を生成するということ、どんな時に発生するのか、どんな食品に入っているのか、その毒素がどのくらい有害なのかについて説明しています。
蜂蜜の効能
HMFの説明に入る前に、蜂蜜の素晴らしい効能を紹介させてください。
蜂蜜のプロバイオティクス
蜂蜜には、ラクトバチルス・クンケイ(Lactobacillus kunkeei)というプロバイオティクスが含まれています。
L. クンケイはフルクトースを食べるため、血糖値を上げにくくしてくれます。
さらに抗菌作用もあり、蜂の巣が病原体に感染することを防ぎます。
人にとってもプロバイオティクスとしての整腸作用を示し、腸内で乳酸菌と酢酸を生成し、病原菌が繁殖しにくいpHに調整する作用があります。
とても健康に有益なL. クンケイですが、蜂蜜を加熱することで死んでしまいます。
L. クンケイが死滅してしまっている蜂蜜は、抗菌作用もなくなり、血糖値を上げる原因になります。
蜂蜜の酵素
蜂蜜には蜂の唾液や消化液が含まれるため、酵素も豊富に含みます。
蜂蜜に含まれる酵素とその役割は以下の通りです。
●ダイアスターゼ ー デンプンをマルトースに分解
●アミラーゼ ー デンプンをグルコースやマルトースなどの糖に分解
●インベルターゼ(転化酵素) ー 砂糖の一種であるスクロースをグルコースとフルクトースに分解
●プロテアーゼ ー タンパク質をアミノ酸に分解
酵素も蜂蜜を加熱することで破壊されます。
蜂蜜のポリフェノール
ミツバチが集めてくる花の蜜、花粉には、抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富に含まれています。
ポリフェノールが血液をサラサラにすることにより、蜂蜜はデトックスにも有効です。
蜂蜜のポリフェノールも、50°C以上の加熱で抗酸化作用が低下します。
HMFとはどんな毒素?
HMF(ヒドロキシメチルフルフラール)は、糖や炭水化物に熱が加わることで生成される有機物です。
常温でも長期間放置することで自然に生成されることもあります。
HMFが生成されるメカニズム
HMFは、化学式では「C6H6O3」と表される、天然の有機酸です。
糖、炭水化物、その中でも特に果糖の脱水中に形成され、養蜂家がミツバチに与えたところ、ミツバチが死んでしまった例があります。
ケージに入れられたミツバチに30〜150 mg / kgのHMFを含む砂糖溶液を与えたところ、ミツバチの15〜58.7%が20日以内に死亡したというデータがあります。
スクロース(ショ糖)は二糖類で、二つの単糖類(フルクトース・グルコース)から構成されていますが、これは簡単に加水分解されます。
このプロセスを転化と呼び、スクロースの転化によってできた物を転化糖と呼びます。
糖が転化すると、フルクトースの部分が脱水し、HMFが形成されます。
インベルターゼにより転化糖は酸性に傾きます。
フルクトースからHMFが生成されるプロセスは、複数の要素により促進されます。
HMF生成を促進する要素は以下の通りです。
●熱
HMFは加熱により生成が促進されます。
蜂蜜の場合、37°Cで生成が始まり、40°Cで蜂の唾液からの酵素、インベルターゼが破壊されるため生成量が一気に増えます。
●酸
クエン酸や酢などを糖、炭水化物に加えることにより、HMFが生成されます。
●時間
新鮮な糖、炭水化物も、時間が経つにつれ空気に触れ加水分解が進むため、少しずつHMFが生成されていきます。
●水分量
水分量が多いほど、HMF生成が促進されます。
●金属イオンの濃度
マンガン、亜鉛、マグネシウム、鉄などの金属イオン濃度が高いほど、HMF生成が促進されます。
蜂蜜に金属のスプーンや容器を使わないのは、このためです。
●糖の組成
フルクトースはグルコースに比べ、5倍HMFを生成しやすいというデータがあります。
蜂蜜では、フルクトースとグルコースの割合がHMF生成のスピードに影響し、フルクトースの割合が高いほどHMF生成のスピードが速くなります。
メイラード反応
メイラード反応とは、食品に含まれるタンパク質やアミノ酸と糖が化学的に反応して褐色物質を作ることを言います。
例えば、食品を焼いた時にできる焦げ目や焼き色。
これはメイラード反応で褐色物質ができたことによるもので、この褐色物質をメラノイジンと呼びます。
HMFは、このメイラード反応によっても生成されます。
HMFの健康への影響
HMFの摂取は消化管から簡単に吸収され、代謝されて様々な誘導体に変換されると、尿を介して排泄されます。
HMF自体は尿から排泄されますが、排出されるまでの段階で代謝され、5-スルホキシメチルフルフラール(SMF)と呼ばれる毒性化合物に変換されます。
代謝によって生成されるSMFは、排泄不可能とされています。
SMFの有害作用は以下の通りです。
●変異原性
●遺伝毒性
●有機毒性
●酵素阻害
これにより、HMFの代謝物であるSMFは、潜在的発がん性化合物と言えます。
HMF代謝産物は尿から排泄される可能性がありますが、一番重要な最終毒性物質であるSMFは排泄されません。
マウスに高容量のHMF投与で、
●腎臓障害
●興奮、大発作、無意識などの神経症状
●生殖機能障害
●DNA損傷
●細胞毒性を確認。
低用量の影響は、今はよくわからないということです。
— ユー子@カンジダ情報発信中 (@yuko_candida) June 16, 2020
インドの伝統医学・アーユルヴェーダでは、蜂蜜を加熱すると、接着性を持ち消化管の粘液膜に付着するアーマという毒素が生成され、この毒素は浄化が最も難しいとしています。
SMFが排泄不可能とする上記の研究結果とも一致します。
HMFが検出される食品
HMFは、蜂蜜だけでなく様々な食品に見られます。
含有量は加工方法、保管方法などにより変わりますが、HMFが検出される食品の例は以下の通りです。
●蜂蜜
●HFCS(異性化糖・高果糖コーンシロップ、ブドウ糖果糖液糖)
●アガベシロップ
●メープルシロップ
●ドライフルーツ
●インスタントコーヒー
●りんごジュース
●柑橘類のジュース
●ビール
●ブランデー
●牛乳
●シリアル
●パン
●トマト製品
など。
HMF含有量は、加熱時間、加熱温度、保管期間、保管温度などに左右されるので、同じ食品でも数値にばらつきがあり比較が難しいのですが、注目される蜂蜜よりもHMFレベルが高い傾向にある食品は存在します。
例えば、
●コーヒー 300〜1900 mg / kg
●スクロース入りクッキー 1100 mg / kg
など、これらは蜂蜜よりもHMFレベルが高い傾向にあります。
また、煮物やソース、焼き菓子など、家庭でも砂糖使い加熱する料理には、HMFが生成されます。
HMFの国際基準
国連の専門機関である国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が合同でつくった、
国際的な食品規格コーデックス(CODEX)では、蜂蜜のHMF含有量の基準が 40mg/kg と定められています。
上記のグラフを見るとわかるように、蜂蜜がパッケージに入れられ出荷された時はHMF含有量が40mg/kg以下でも、保管温度と時間によりHMFレベルは上がっていきます。
HMFの耐容一日摂取量(TDI)
HMFの健康への影響に関するほとんどの実験は、in vitro、in vivo(試験管内などの人工的に構成された条件下)、動物実験レベルで実施されているため、耐容一日摂取量 (TDI)は定められていません。
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こちらの研究では、HMFの推定摂取量は1人1日あたり4〜30 mgの範囲とし、
0〜100μg/ kg体重/日 の範囲ならば悪影響はないという結論になっています。
体重50kgの人の場合、5mg/日
食品添加物として使用されるカラメル色素に起因するHMF摂取は、さらに評価する必要があるということです。
蜂蜜の選び方
それではどういう蜂蜜を選べばいいのか?
蜂蜜を選ぶ基準は以下の通りです。
1、非加熱・濾過されていない
2、オーガニック
3、新鮮
4、37°C以下で保管されている
5、水飴やHFCSが混ぜられていない
この条件全てを満たす蜂蜜を見つけることは難しく、信頼できる養蜂家を見つけて直接譲ってもらうことが一番いい方法になります。
スーパーで販売している蜂蜜はほとんどが加熱処理されているもので、「生蜂蜜」という記載があったとしても保管方法がわからないため避けたほうがいいと言えます。
「生」や「raw」の記載があっても、加熱・濾過してある蜂蜜も多いため、注意が必要です。
まとめ
蜂蜜を加熱すると発生するHMFは、体に代謝されることによりSMFという毒素に変換され、その毒性には発がん性があることが懸念されます。
HMFは蜂蜜だけではなく、炭水化物を含む様々な食品に見られ、特に糖分が高い、酸性度が高い、水分が高い、加熱されているもので発生しやすくなります。
HMFを完全に避けることは難しいのですか、食品の調理方法や保管方法の工夫で摂取量をできるだけ低く抑えることができます。
品質の良い蜂蜜を入手できた際は、加熱する料理に使ったりお茶に入れるのではなく、ぜひそのまま舐める、冷たい料理に使用するなどの使い方をしてください。
・蜂蜜の毒について知りたい人
・蜂蜜の選び方を知りたい人
・蜂蜜を加熱料理やお茶に入れている人