マーガリンの歴史から見る、マーガリンがバターより劣る理由

食の安全

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マーガリン vs バター

味、健康面では断然バターに軍配が上がります。

マーガリンの利点は、

  • 安価
  • 長持ちする
  • ビーガンでも摂取できる
  • 冷蔵していてもすぐパンに塗れる固さ

ということだけ。

この記事では、なぜマーガリンよりもバター(特にグラスフェッドバター)を選ぶべきか、マーガリンの歴史から見ていきます。

バターとマーガリンの違い

バターとマーガリンの一番の違いは、バターは動物性脂肪からできていて、マーガリンは植物性脂肪からできているところです。

バターの歴史は古く、紀元前2000年頃のインドの経典や旧約聖書にバターの記述があると言われています。

マーガリンの歴史は150年ほどで、バターに比べると歴史が短い食品です。

製造方法の違いを画像にまとめてみました。

バターの製造方法はシンプルであることに対し、マーガリンは高度に加工された食品と言えます。

マーガリンは安価で粗悪なバター代替品

マーガリンはどのようにできたのでしょう?

1869年、マーガリン誕生。
当時のフランスでは牛疫や戦争でバターの不足が問題になっていたため、ナポレオン3世がバター代替品案を募集し、食品化学者のヒポリート・メジュムーリエ(Hippolyte Mège-Mouriès)の牛脂から作るオレオマーガリン(オレイン酸+マルガリン酸から取った呼び方)の案が採用されました。
オレオマーガリンという呼び方は、のちに短縮され「マーガリン」と呼ばれるように。

最初は動物性脂肪から作られていたマーガリンは、だんだん植物性脂肪由来に変わっていきます。

1871年、ヒポリート・メジュムーリエは、オランダ人にマーガリン製造法を売却します。
1888年頃までに、オランダはマーガリン利権を確立します。

1901年、ドイツの化学者ウィルヘルム・ノーマン(Wilhelm Normann)は、常温で液体の植物油の水素化を発明。
水素化とは、脂肪と水素を結合させ、液体を固形化することを言います。

1910年頃までに、ほぼ全てのマーガリンが植物由来に置き換えられました。

第一次世界大戦中(1914〜1918年)は、バター不足によりマーガリンの消費量が急増。
戦後、マーガリンの消費量は下がりましたが、1920年代の戦後恐慌が一般家庭の家計を苦しくし、安価なマーガリンの購入が増えた面もありました。

第二次世界大戦中(1939〜1945年)も、マーガリンの消費量が急増。
しかしバターの制限が解除されると、マーガリンの消費量は下がりました。

1927年、オランダの複数のマーガリン会社が合併し、ユナイテッドマーガリン(マーガリンユニエ)と呼ばれる合併事業体を作ります。

1930年、ユナイテッドマーガリンは、イギリスの石鹸会社レバー・ブラザーズと合併。
のちに大企業に成長するユニリーバが誕生します。

一方アメリカでは、
1886年、乳製品業界からの圧力で、マーガリン1ポンドあたり2セントを課税する「オレオマーガリン法」が制定されました。
同時に、バターの色に似せるためにマーガリンに黄色い着色料を添加することを禁止。
幾つかの州では、マーガリン自体を禁止にしました。

1898年、ニューハンプシャー州、バーモント州、サウスダコタ州では、マーガリンを人々の食欲をそそらないピンク色に着色することが義務付けられました。

1950年、マーガリン法は撤廃されています。

 

1928年、アイルランドのウォーターフォード群病院では、病院食用のバターを安価なマーガリンに切り替えました。
この背景には、厳しい緊縮財政以外にも、ウォーターフォード群にマクダウェルマーガリンカンパニーの工場が設立されていたことも関係しています。
マーガリンへの切り替えは、病院スタッフと患者から大きな抵抗を受けました。
反対派と病院の協議の過程で、「マーガリンとバターを比較して、脂肪またはタンパク質の含有量も全体的なカロリーにもほとんど違いがない。」「マーガリンは最も衛生的な条件下で生産され、安定した脂肪食品であり、バターと同じ栄養価を含み、バターの約半分の価格である。」というマーガリンを擁護する報告書が提出されました。

 

マーガリンによるビタミンD欠乏

マーガリンが普及し始めた当初の懸念は、マーガリンにビタミンDが含まれていないことでした。

ビタミンD欠乏はカルシウム吸収を阻害するため、くる病の最も一般的な原因であり、1930年代以降、ビタミンD豊富なタラ肝油が普及する前は、主に日光への曝露不足とビタミンDが少ない食事をしている傾向にあった都市部の労働者階級の子どもたちの間で、くる病が急速に広まりました。

牛乳にはビタミンDが含まれるため、乳脂肪からできているバターには脂溶性ビタミン(AとD)が豊富に含まれます。

 

1940年、第二次世界大戦の勃発とバター不足により、イギリス政府はマーガリン製造業者にビタミンAとDをマーガリンに添加することを義務付けました。

それ以降、新聞のマーガリン広告はマーガリンのビタミンD含有量を強調し、栄養不足に関する懸念を払拭するようになります。

 

マーガリンはバターよりも健康的であるという印象操作

1978年、アメリカの疫学者アンセル・キースが提唱した7カ国共同研究により、西欧では「飽和脂肪摂取が心臓病のリスクを増加させる」という医学的見解が浸透し始め、「飽和脂肪含有量が低いマーガリンは健康的」というイメージが定着します。

1990年代初頭、植物油の部分水素化によって人工的に生成されたトランス脂肪が心臓病と大きな関連を持つことが発見されるまで、マーガリンの健康的なイメージは続きました。

マーガリンに有害なトランス脂肪が含まれることが発見されてから、マーガリンには「スプレッド(植物油+水+バターミルク)」や「植物性バター」など、消費者を混乱させるラベルが付けられるようになります。

マーガリンのトランス脂肪酸除去には、重金属であるニッケルを触媒として使用するため、トランス脂肪酸はゼロでも、マーガリンが残留ニッケルで汚染されている可能性が懸念されます。

消費者の誤解を招く宣伝に多額の資金が投入され、マーガリンメーカーは「バターは体に悪い」という研究に資金を使いました。

現在、世界では乳業全体をほんの数社が握り、そのほとんどがマーガリン、スプレッド、バターを生産しています。
そのため、企業は収益性の高いバターの代替品のイメージを落とす必要がなく、誤解を招く広告は慣例となっています。

バターこそ健康的

マーガリンは粗悪なバター代替品ということがわかりました。
それではバターは健康的なのでしょうか?

歴史上、古代から人々に愛されてきたバターは、健康的であると言えます。
特に牧草を食べて育った牛の牛乳から作られるグラスフェッドバターは、一般的な穀物飼料で育った牛からのバターに比べ、栄養価が断然高くなっています。

  • 一般的なバター
  • オーガニックバター
  • グラスフェッドバター
  • ギー

この4種類のバターの違いは、以下のようになります。

一般的なバター

牛に抗生物質や成長ホルモンが投与されている可能性があります。
餌は牛が本来なら食べない、とうもろこし、大豆、穀物、他のスターチ類、植物油製造の副産物、醸造所・蒸留所の副産物などです。
穀物は遺伝子組み換え作物であり、農薬が使われている場合がほとんどです。

グラスフェッドバターに比べ栄養価が低く、色も薄い傾向にあります。

オーガニックバター

牛に抗生物質や成長ホルモンは投与されていません。
しかし、餌は無農薬というだけで、穀物類であることは一般的なバターと同じです。
そのため栄養価はグラスフェッドバターよりも劣ります。

グラスフェッドバター

牛に抗生物質や成長ホルモンは投与されておらず、餌は牧草です。
夏は牧草地で放し飼い、冬は干し草が与えられます。
栄養価が高く、色は濃い黄色〜オレンジ色となっています。

グラスフェッドバターに含まれる栄養素は、以下の通りです。

1、ビタミンA

脂溶性ビタミンであるビタミンAは、体が生成できない必須ビタミンです。
グラスフェッドバター大さじ1杯には、ビタミンAの1日推奨量の約10%が含まれています。
さらに、ビタミンAは視力、生殖、免疫機能を改善し、歯、骨、皮膚の形成と維持に関与しています。

2、ビタミンD3

ビタミンD3も脂溶性ビタミンです。
人や動物が日光の紫外線に当たることで生成されます。
ビタミンD3は、小腸や腎臓でカルシウムやリンの吸収を促進します。
ビタミンD欠乏症として、小児ではくる病、成人では骨粗鬆症が挙げられます。

ビタミンD3とビタミンK2の両方を含むグラスフェッドバターは、天然のサプリメントのような存在です。

3、ビタミンE

ビタミンEは、非常に抗酸化作用の強い脂溶性ビタミンです。
血中のLDLコレステロールの酸化を抑制したり、血行を促進する作用があります。

4、ビタミンK2

ビタミンK2も脂溶性ビタミンで必須ビタミンです。
ビタミンK2は、主に発酵食品やグラスフェッドバターなどの動物性食品に含まれています。
牛の胃での発酵中に、牧草のビタミンK1がビタミンK2に変換されます。
動脈のプラークを減らしたり、その形成を防ぐため、心臓の健康に重要な役割を果たします。
カルシウム吸収を助けるため、より多くのビタミンK2を消費する人々は、骨折が少なくなる傾向があります。

5、ベータカロチン

グラスフェッドバターは、一般的なバターよりもベータカロチン含有量が高くなっています。
ベータカロチンは効果的な抗酸化物質であり、フリーラジカルの損傷から細胞を保護するのに役立ちます。
研究では、ベータカロチンが豊富な食品の摂取量を増やすと、加齢に伴う慢性疾患、がん、糖尿病のリスクを減らすことが示唆されています。

6、オメガ3脂肪酸

炎症を軽減し、基礎代謝を増加させるオメガ3脂肪酸は、体が生成できないため、食事から摂取する必要がある重要な栄養素です。
グラスフェッドバターは、一般的なバターよりもオメガ3脂肪酸の含有量が高くなっています。

7、共役リノール酸(CLA)

共役リノール酸(CLA)はトランス脂肪酸ですが、天然であり、健康に非常に有益な脂肪酸です。
マーガリンの有害で人工的なトランス脂肪酸とは異なります。
共役リノール酸は牧草飼育の牛、山羊、羊の消化器系で形成され、牧草飼育の乳製品には、穀物飼育の乳製品の約6倍の共役リノール酸が含まれています。
ちなみに乳製品だけでなく、グラスフェッドの肉にも含まれます。
共役リノール酸は体脂肪を減らし、筋肉量を維持するのに役立ちます。

8、飽和脂肪酸

過去に「体に悪い」とされていた飽和脂肪酸ですが、現在は心血管疾患を促進するよりも予防​​するという研究結果が出ています。
高血圧や心臓病の原因となるのは、人工甘味料や人工トランス脂肪です。

9、酪酸

酪酸(らくさん)は、腸内細菌の成長を促進する短鎖脂肪酸です。
酪酸は消化酵素や胆汁の生成を必要とせず、体に素早く吸収されます。

 

ギー

ギーは、バターから乳糖と乳たんぱく質を取り除いた純粋な乳脂肪で、最長1年間保存可能です。
インドでは、ギーは揚げ物の伝統的な脂肪として使用されていました。
グラスフェッドのギーは、グラスフェッドバターの最高級の形態であると言えます。

 

まとめ

「マーガリンは七面鳥を太らせるために誕生した」という説がありますが、これはただの噂にすぎず、実際マーガリンは過去の戦争でバター不足を解消するための安価な代替品として誕生しました。

その普及も戦争に関連しているところが大きく、戦争を繰り返すたびにマーガリンの普及が促進されていきました。

マーガリン摂取は、戦時中の民衆に「まずくて臭い粗悪な食品を食べている」という劣等感を与え、ヒトラーはその劣等感を利用しホロコーストにつなげたという説もあります。

一時期の「植物性のマーガリンは動物性のバターよりも体にいい」という間違ったイメージを、今でも持ち続けている人は多いと思います。

しかし、マーガリンは高度に加工される過程で有害な食品になり、しかもマーガリンに使われる大豆油やキャノーラオイルなどの植物油は、遺伝子組み換え作物であることが多いです。

反対に、グラスフェッドバターは栄養価の高いスーパーフードです。

パンデミックやロシア・ウクライナの戦争など、第三次世界大戦さながらの昨今、ビーガンやプラントベースを推奨する風潮が強くなってきています。

マーガリンかバターかという問題に直面した際、多くの人がメディアの印象操作に惑わされない選択をすることを期待しています。

 

 

 

 

 

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