私たちの体にはたくさんの菌が住んでいます。
そのほとんどが良い菌で、病原性を持つ菌はその中の1%未満と言われています。
良い菌は私たちの体が機能し健康を維持する上で重要な役割を果たすために不可欠であるため、「善玉菌」と見なされます。
プロバイオティクスとは、健康上有益であると考えられる生きた微生物「善玉菌」のことです。
腸内環境の大切さが叫ばれてきた昨今、大人でプロバイオティクスを積極的に摂取する方は増えてきていると思います。
この記事では、赤ちゃんもプロバイオティクスが必要な理由、赤ちゃん用のプロバイオティクスの選び方、飲ませ方を説明しています。
赤ちゃんもプロバイオティクスが必要な6つの理由
菌と共存して生きている私たちにとって、善玉菌は健康上絶対不可欠な存在です。
胎児の時は無菌状態の赤ちゃんは、主にお母さんの羊水・産道・母乳から菌を取り込み腸内環境を形成します。
赤ちゃんの腸内環境の形成については、こちらの記事でも触れています。
この記事では、赤ちゃんがお母さんの羊水・産道・母乳からもらう菌のことではなく、市販のプロバイオティクスのサプリメント・整腸剤の大切さに焦点を当てて説明します。
1、現代の食習慣でお母さんの善玉菌が減少傾向にあるため
抗生物質、遺伝子組み換え作物、砂糖、添加物が今ほど氾濫していなかった時代は、お母さんの羊水・産道・母乳から赤ちゃんが自然に菌を取り込み、アレルギーやアトピーになることもありませんでした。
お母さんの食習慣による腸内環境の変化で、赤ちゃんに有用な菌をどれだけあげられるかが決まってきます。
それに加え、帝王切開での出産、人工ミルクでの授乳も、赤ちゃんが有用な菌を取り込める機会を減らします。
このような背景があるため、市販のプロバイオティクスや整腸剤の使用が大切になります。
2、赤ちゃんの消化器系の働きを助けるため
腸内細菌のバランスが取れていない赤ちゃんは、コリック、酸逆流、便秘、下痢を起こしたり、過敏性腸症候群(IBS)やクローン病などのより深刻な消化器系の問題を発症する可能性があります。
3、赤ちゃんの免疫系の働きを助けるため
私たちの免疫に大きく関係しているのが、腸内環境です。
アレルギー体質の人は腸内バランスが崩れているという研究結果はたくさんあります。
免疫系が弱い赤ちゃんは風邪・インフルエンザ・その他の病気にかかりやすくなります。
そのため、プロバイオティクスを摂取することにより、風邪などの病気にかかりにくくする作用があります。
4、赤ちゃんの精神的安定を助けるため
私たちの体のセロトニン(心地よいホルモン)とドーパミン(脳の喜びの中枢を調節する神経伝達物質)の80-90%は腸で作られています。
人間の赤ちゃんではありませんが、お母さんと分離されたマウスの赤ちゃんにプロバイオティクスを投与したら精神的に安定した、臆病なマウスと物怖じしないマウスの腸内環境に大きな差があったなど、腸内環境が精神的安定に関わるという研究は進められています。
5、赤ちゃんの肥満を防止する
腸内環境形成過程にある乳児期に抗生物質を使用することで、腸内バランスが崩れ肥満体質になるという研究結果があります。
6、乳児湿疹・アトピーを防止する
乳児湿疹・脂漏性湿疹・ニキビなど、赤ちゃんの肌の問題は腸内環境が大きく関わっていると言われています。
多少の乳児湿疹ならよくあることと済まさずに、アトピーに移行する前にプロバイオティクスで赤ちゃんの腸内環境形成を手伝ってあげたいものです。
赤ちゃんのプロバイオティクスの選び方
赤ちゃんにあげるプロバイオティクスには液体と粉末の2種類があり、使いやすい方を選んで下さい。
有益な菌は何種類もたくさんあるのですが、最低2〜3種類の菌が含まれているプロバイオティクスが推奨されています。
特に摂りたい菌は下記の3種です。
1、B. bifidum(ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム)
ビフィズス菌の一種。
赤ちゃんの腸に定着する最初の菌の種類の1つであり、他の種類よりも腸壁によく付着します。
そして消化と栄養吸収のための重要な細菌であり続けます。
乳児湿疹や酵母菌感染症などの乳児の皮膚の状態に役立つことがあります。
また、壊死性腸炎、便秘、下痢、さらには肺感染症などの乳児の消化器系の問題にも役立ちます。
2、B. infantis(ビフィドバクテリウム・インファンティス)
ビフィズス菌の一種。
乳児の腸内にいる一般的な菌種で、炎症を軽減し免疫機能をサポート。
加齢とともに減少します。
最近の研究では、この菌種は先進国では絶滅の危機にあるという説があり、問題視されています。
3、L. reuters(ラクトバチルス・ロイテリ)
乳酸桿菌の一種。
コリック・下痢・便秘などお腹の問題を防止し、ピロリ菌・虫歯菌・歯周病菌の発育抑制効果もあるそうです。
赤ちゃんのプロバイオティクスの飲ませ方
飲ませ始める時期
生後2〜3日から始めます。
生まれて間もない赤ちゃんにサプリメントを飲ませるのは抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、生後すぐの腸内環境形成期間にお母さんから自然にもらう菌に加えてサプリメントの生きた菌をもらうことで、その後の人生の腸内環境に関わります。
最初はごく少量から始めて、問題がないようでしたら少しずつ量を増やします。
液状プロバイオティクスの飲ませ方
・お母さんの乳首、または指につけて赤ちゃんの口の中に入れる
・人工ミルク、または搾乳した母乳に混ぜる
・スプーンやシリンジで赤ちゃんの口の中に入れる
・離乳食に入れる
粉末プロバイオティクスの飲ませ方
・お母さんの乳首、または指につけて赤ちゃんの口の中に入れる(粉末なので、乳首または指に母乳を少しつけてからだとプロバイオティクスがくっつきやすくなります。)
・人工ミルク、または搾乳した母乳に混ぜる
・スプーンで赤ちゃんの口の中に入れる
・離乳食に入れる
赤ちゃんのプロバイオティクスQ&A
プロバイオティクスは新生児にも安全?
安全です。
AAP(アメリカの小児科学会)のサイトには、「市販のプロバイオティクス製品は乳児に害を及ぼすことはない。」と明記しています。
プロバイオティクスが原因で赤ちゃんに腹痛の症状が出ることはある?
ないです。
これは全く逆で、プロバイオティクスが赤ちゃんの腹痛・下痢・便秘などお腹の症状を改善します。
プロバイオティクスを飲ませ過ぎるとどうなりますか?
パッケージに記載してある服用量、または医師の指示に従ってください。
AAFP(アメリカ医師会?)のサイトでは、「飲ませすぎは不要なことにお金がかかるだけで、特に害はない。」と明記してあります。
まとめ
お母さんの腸内バランスの崩れが生まれてきた赤ちゃんの腸内バランスの崩れにもつながり、赤ちゃんにアレルギー疾患などの症状を引き起こす可能性があります。
それを防ぐためにお母さんが出来ることは、
・抗生物質を使用しない
・お母さんもプロバイオティクスを摂る
・自然分娩
・母乳育児
・赤ちゃんに早いうちからプロバイオティクスを飲ませる
私は、長男に酷い乳児湿疹が出たことでプロバイオティクスの大切さを知ったので、上記のことは知りませんでした。
早いうちにプロバイオティクスをあげられていたら、長男の顔はゾンビみたいにならなくて済んだのか?
答えは出ない私の疑問です。
とはいえ、私は長男が7ヶ月の時に食生活を「カンジダダイエット」に切り替え、自分もプロバイオティクスのサプリメントを飲むと共に、長男には液体のプロバイオティクスを授乳時に乳首につけてあげ始めました。
完治はしていませんが、1ヶ月で目に見えるくらいの結果が出ました。
スタートは遅れた長男ですが、プロバイオティクスを始めるのに遅すぎるということはないと思っています。
・赤ちゃんがいるお母さん
・妊婦さん
・妊娠予定がある方
・赤ちゃんのお世話をされる方