歯科業界の常識を覆すような強烈な本に出会いました。
歯学博士・長尾周格著「歯医者が虫歯を作ってる-歯科医師だから知っている、危ない話」という本のレビュー、あらすじ紹介、感想を記事にします。
著者はどういう人?
著者の歯学博士・長尾周格先生は、歯学部卒業後、日本一の歯科医師を目指し歯科医院に勤め技術を磨きますが、「歯科医療の質の低さ」「売上至上主義の経営実態」に愛想を尽かし、独立開業。
分子整合栄養医学も研究し、独自の予防歯科・予防歯科的食生活改善法を提唱されている歯医者さんです。
「歯医者が虫歯を作ってる」
目次
はじめに
第1章 間違いだらけの「歯の常識」
第2章 歯が悪くなるほど儲かるのは誰?――日本の歯科医療の実態
第3章 あなたがむし歯に罹るワケ――歯医者が言わない虫歯の原因
第4章 歯周病のホントの原因
第5章 歯並びは母親の栄養状態で決まる
第6章 むし歯も歯周病もない人たち
第7章 予防歯科の〝食〟改善法
第8章 治療後のメンテナンスを考える
おわりに参照 長尾周格著「歯医者が虫歯を作ってる-歯科医師だから知っている、危ない話」
第1章 間違いだらけの「歯の常識」
1、歯磨きは虫歯を予防する
2、フッ素は虫歯予防に効果的
3、シーラントは虫歯を予防する
4、歯磨き後にはマウスウォッシュ剤を
5、歯間ブラシでプラークコントロール
6、虫歯の原因は虫歯菌
7、歯周病は歯周病菌が原因
8、歯並びかみ合わせの異常は遺伝的なもの
9、よく噛むことが不正咬合の予防になる
10、定期検診で虫歯を予防する参照 長尾周格著「歯医者が虫歯を作ってる-歯科医師だから知っている、危ない話」
上記の1〜10の項目は、歯科では常識で、一般の人にも浸透した考え方ですが、この本によると「全部間違っている」ということです。
日本人の9割が毎日歯を磨き、7割は1日2回以上歯磨きをしているにもかかわらず、95%の人が虫歯になった経験があるという事実から、「歯磨きが虫歯を予防する」という間違った常識について指摘しています。
虫歯以外の口腔内の問題に対しての常識についても、ことごとく否定していますが、理由は第2章以降に詳しく書かれています。
第2章 歯が悪くなるほど儲かるのは誰?――日本の歯科医療の実態
●口では「予防が大事」と言うけれど…
●良質の治療は医院の利益に反する
●儲けのテクニック
●子どもの虫歯は治療しない
●デッチアゲしやすい歯周病治療
●「手抜き」を誘発する、患者側の要求
●”薄利多売”の歯科業界
●”繁盛する歯科医院経営”の誘惑
●どういった歯医者にかかればいいのか?参照 長尾周格著「歯医者が虫歯を作ってる-歯科医師だから知っている、危ない話」
著者自身が歯科に勤めた中で見てきた現実で、従来の歯科に愛想を尽かした理由が全て書いてあります。
本当に患者のことを考えた治療、予防歯科を進めると、虫歯や歯周病が減り、歯科医院が儲からなくなる、患者よりも自分の利益を優先させている歯科業界の実態が赤裸々に綴られています。
患者としてはショッキングな事実です。
第3章 あなたがむし歯に罹るワケ――歯医者が言わない虫歯の原因
●虫歯の本当の原因
●歯の自己修復をジャマする糖
●「かしこく砂糖を摂る」なんてデタラメ
●砂糖の依存性は麻薬並み
●「甘いものが欲しい!」のワケ
●脳の報酬系を壊す砂糖
●だから砂糖がやめられない!
●フルーツ、野菜の糖はどうなのか?
●疾病利権を支える砂糖参照 長尾周格著「歯医者が虫歯を作ってる-歯科医師だから知っている、危ない話」
気になる「虫歯の本当の原因」について、ズバリ「砂糖」が挙げられています。
「砂糖入りのものを食べた食べかすが、ベタベタしているために歯にくっつき、そこに虫歯菌がやってきて歯を溶かす」というような事実は、メインの虫歯の原因ではないようです。
歯や口腔内は全身と繋がっていて、別物として考えるには無理があります。
おじいちゃんが、自分が口をつけた箸で孫に食べ物をあげてしまう…
孫の母親はおじいちゃんの虫歯菌が孫にうつるからと、激怒する…
こういう心配はいらないそうです。
虫歯の原因は虫歯菌ではないから。
第3章では、砂糖が口腔内と全身に与える影響について、詳しく説明されています。
第4章 歯周病のホントの原因
●歯周病とはどういう病気か?
●人間の免疫の中心「腸管免疫」
●異物をやっつける仕組みー腸管免疫とは何か?
●低血糖症が腸管免疫を乱す
●砂糖とリーキーガット症候群
●糖尿病がコントロールできないと悪化する歯周病
●バリアーの途切れている歯周組織
●歯茎の健康に必要な栄養素はこれ!
●現代人に見られる栄養欠乏
●噛むことの重要性
●歯磨きの本当の意味とは?参照 長尾周格著「歯医者が虫歯を作ってる-歯科医師だから知っている、危ない話」
歯周病もまた、全身の状態に大きく左右される問題で、この章では当ブログのメインテーマの一つでもある「腸内環境」について触れられています。
当ブログでは、腸内環境を整えることは免疫を強くすることに繋がり、砂糖やグルテン、化学物質などを摂らないで、プロバイオティクスを摂取し、腸内の善玉菌を増やすことを推奨していますが、こちらではとにかく「砂糖」がいけないというスタンスです。
そして、第1章に「歯磨きは虫歯を予防しない」とありましたが、この第4章では初めて歯磨きの重要性が治療目的・メインテナンス目的として語られています。
第5章 歯並びは母親の栄養状態で決まる
●不正咬合が起こるメカニズム
●テリアやブルドッグが教えてくれる鼻中隔軟骨の重要性
●歯並びはお母さんの妊娠中に決まる
●ガタガタの歯並びの原因
●出っ歯と受け口も解決できる
●予防矯正の正しいやり方参照 長尾周格著「歯医者が虫歯を作ってる-歯科医師だから知っている、危ない話」
私は歯並びが悪く、私の子どもも歯科矯正中なため、この章が一番興味がありました。
そしてずっと「不正咬合の原因は遺伝」だと思っていたため、そうではないということを知り、驚きました。
できれば妊娠前に知っておきたかった事実です。
第6章 むし歯も歯周病もない人たち
●虫歯も歯周病も不正咬合もない人たち
●プライス博士の調査旅行
●プライス博士が発見した事実
●先住民族に学ぶ食生活の特徴
●アボリジニーの伝統食
●イヌイットの伝統食
●アイヌの伝統食
●健康な人たちは何をどう食べているのか
●身体の退化を引き起こした近代食の特徴
●「1日3食」はどこからやってきたのか
●妊娠前および妊娠中の特別な知恵
●「鉄」が足りないと赤ちゃんはおなかから逃げ出そうとする
●妊娠前の女性に必要な鉄分量とは?
●ビタミンAは摂るべきか、摂らざるべきか
●妊娠にも害になる砂糖ー妊娠と葉酸参照 長尾周格著「歯医者が虫歯を作ってる-歯科医師だから知っている、危ない話」
「健康については健康な人に学べ」ということで、現代の先進国に住む人たちより明らかに健康な先住民族の食生活について説明しています。
虫歯も歯周病も不正咬合もない先住民は、肉・魚中心の食生活をしているため、この本では動物性7割・植物性3割の食生活を提唱しています。
ビーガンやベジタリアン文化が進み、肉を食べることが良くないような風潮がある中、肉(と魚)食を推す意見です。
第7章 予防歯科の〝食〟改善法
●予防歯科的食生活改善法の基本”先住民食”
●もっとも重要な「砂糖断ち」
●砂糖をやめる方法ー僕のやり方
●代替甘味料中毒とは?
●精製された糖質の危険性
●油はこう判断しよう
●摂ってはいけないキャノーラ油
●動物の油に溶け込んでいるアブナイ物質
●牛乳を飲んでいい人、いけない人
●牛乳で骨折が増える理由
●ヨーグルトが腸を悪くする
●健康な命をいただく
●クジラを食べよう
●僕の先住民食実践の成果参照 長尾周格著「歯医者が虫歯を作ってる-歯科医師だから知っている、危ない話」
この章では、具体的な食生活の注意点などが説明されています。
著者は砂糖を絶ってから1ヶ月くらいで砂糖のことは欲しいと思わないようになったらしいのですが、私の場合は重症だったからか、4〜5年かかりました。
だから「1ヶ月」と聞いて、「え、そんなに早く!?」と驚きました。
第8章 治療後のメンテナンスを考える
●メインテナンスの必要性
●虫歯の治療をしたら…
●歯周病治療とメインテナンス
●矯正治療が終わったら
●インプラントと”ロスト”
●インプラント歯周炎とは?
●全身的な栄養状態を知るための血液・尿検査
●サプリメントに頼る前に参照 長尾周格著「歯医者が虫歯を作ってる-歯科医師だから知っている、危ない話」
患者によっては、歯科治療をしたからもう治ったと思い、安心仕切っている人もいるかもしれませんが、歯科のすべての治療は治療後も要観察が必要なことがわかりました。
特に私がかねてから「健康な人が不慮の事故で失くした歯の部分にインプラントをするならまだしも、歯周病や虫歯で歯を失くした人がインプラントをしたところで、何年持つのだろう?」という疑問があったので、この章はメインテナンスについて書かれていますが、インプラントが持つのは大体5年くらいということが分かってスッキリしました。
まとめ
歯学博士・長尾周格著「歯医者が虫歯を作ってる-歯科医師だから知っている、危ない話」のレビュー、あらすじ紹介、感想を書きました。
当ブログでは、「砂糖の過剰摂取を含む食生活の乱れが腸内環境悪化に繋がり、腸内でカンジダ菌が増殖することによって全身にいろいろな困った症状が出る」ということをトピックにしています。
その困った症状には、虫歯や歯周病も含まれていますが、この本を読んで不正咬合にまで関わっているということを知りました。
全章を通して言われているメッセージは「砂糖は百害あって一利なし」ということです。
この本を読まれた方はみんな砂糖断ちに挑戦すること間違いなしです。
是非1度読んでみてください。
・虫歯がある人
・歯周病の人
・お子さん(特に小さいお子さん)がいる人
・妊娠中の人
・妊娠予定がある人
・歯科医師と歯科医療従事者