大豆アレルギーがある人でも、醤油や味噌は食べれる。
牛乳アレルギーがある人でも、ヨーグルトは食べれる。
小麦アレルギーがある人でも、サワードウブレッドは食べれる。
このような話を聞いたことがある人は多いと思います。
食物アレルギーの原因になるアレルゲンを発酵させると、アレルゲンがなくなるのでしょうか?
このことは、消化に大きく関わっているようです。
この記事では、大豆、牛乳、小麦に限定した食物アレルギーの仕組み、発酵させるとアレルゲンがなくなるということ、発酵以外で食物を消化しやすくする方法について説明しています。
食物アレルギーの仕組み
大豆、牛乳、小麦にアレルギーを持つ人は多く、年々増えています。
これは、これらの食品に含まれるたんぱく質が消化されにくいという問題に関係しているようです。
未消化たんぱく質になりやすい物質は、
●大豆のサポニンとレクチン
●牛乳のカゼイン
●小麦のグルテン
これらの未消化たんぱく質が、体に異物として認識、攻撃されることで起きる症状が食物アレルギーです。
アレルギー症状を引き起こす原因になる物質のことを、アレルゲンと言います。
アレルゲンがしっかりと消化されれば、食物アレルギーの症状は出ないようです。
アレルゲンを発酵させると、アレルゲンがなくなる
大豆、牛乳、小麦などを発酵させると、菌がアレルゲンを分解してくれます。
発酵具合によりアレルゲンが完全になくなるわけではありませんが、ちゃんと発酵されていれば、重症な食物アレルギーでない限り、食べても症状が出ないレベルにまで分解されます。
発酵の利点は、以下の通りです。
1、消化されやすい状態に分解してくれる
未消化になりやすいたんぱく質が、消化しやすいかなり小さい状態にまで発酵菌によって分解されます。
ちゃんと消化されたタンパク質は、アレルゲンになりません。
2、フィチン酸を取り除いてくれる
大豆や玄米はミネラルが豊富ですが、そのミネラルの吸収を阻害するフィチン酸という物質も一緒に含みます。
発酵させることにより、発酵菌がフィチン酸を取り除いてくれます。
フィチン酸以外にも、穀物には酵素を阻害する物質が含まれていますが、発酵はこの物質も取り除きます。
3、糖を食べてくれる
牛乳は乳糖、大豆や小麦はでんぷん質が豊富ですが、発酵菌は成長・増殖するために、この糖分を食べてくれます。
そのため、発酵過程が終了した発酵食品は低糖になり、腸内のカンジダ菌に餌になりません。
乳糖不耐症の人が、牛乳は飲めないけどヨーグルトなら食べられるのは、このためです。
4、善玉菌が増える
食品を発酵させることにより、その食品の中で発酵菌(善玉菌)が増殖します。
これを食べることにより、腸内環境で善玉菌が増え、悪玉菌が減るという現象が起こります。
悪玉菌であるカンジダ菌などの真菌は、善玉菌が少ない環境で、腸壁にしっかりとしがみつき損傷を与えます。
フィルターの役割をしている腸壁は、損傷を受けることで、本来通してはいけない食べ物や毒素を通してしまうため、これも食物アレルギーを悪化させる原因になります。
5、栄養価を高める
発酵菌も成長のためにビタミンを必要としますが、菌によっては葉酸やビタミンB12を生成してくれるものもあります。
発酵食品を食べることによって、ビタミンやミネラルの吸収を高めるという利点もあります。
以上のことから、大豆、牛乳、小麦にアレルギーがある人でも、発酵させた醤油、味噌、ヨーグルト、サワードウは食べても症状が出ないということが起こります。
とはいえ、全くグルテンを受け付けないセリアック病の人が、サワードウなら食べられるか?というと、微妙なようです。
サワードウは、発酵の過程でアミラーゼという酵素が活性化され、グルテンが分解され消化されやすい状態になります。
だた、完全に分解されているとは言えないらしく、アメリカやカナダの栄養協会は「セリアック病の人がサワードウを食べてもいいか?」については、現在も沈黙しているということです。
サワードウブレッド、しっかり発酵させるとグルテンレベルが75,000 ppmから12 ppmに。
0 ppmではないけど、12 ppmなら「グルテンフリー」と呼べるくらい、ほとんどないに等しいということです。https://t.co/dRH6i06ua6
— ユー子@カンジダ情報発信中 (@yuko_candida) May 14, 2020
普通のイーストで作るパンも発酵させて作りますが、なんでグルテンがなくならない?
普通のパンは乾燥した粉状のイーストを使っています。
これはサッカロミセス・セレビシエ(出芽酵母)という1種類の酵母だけを使っているため、小麦粉のでんぷんは分解されますがグルテンはされません。続く
— ユー子@カンジダ情報発信中 (@yuko_candida) May 14, 2020
一方、サワードウは、空気中に飛散している酵母や乳酸菌など様々な種類の菌により発酵されているため、十分な発酵時間があればグルテンが分解されます。
サワードウの発酵菌は、乾燥されることなく常に水分を含んでいることも普通のパンとの違いです。
— ユー子@カンジダ情報発信中 (@yuko_candida) May 14, 2020
現在出回っているほとんどの小麦は品種改良され、グリホサートという農薬が沢山使用されているものなので、小麦アレルギーの人がサワードウを試してみるなら、スペルトフラワー(スペルト小麦)で作ったサワードウが比較的安全です。
過敏性腸症候群(IBS)で低FODMAP食をされている方は、サワードウブレッドは食べてもいい分類に入るようです。
発酵性の吸収されにくい短鎖炭水化物群のことです。F Fermentable 発酵された
O Oligosaccharides オリゴ糖
D Disaccharides 二糖類・乳糖
M Monosaccharides 単糖類・果糖
A And
P Polyols ソルビトール・キシリトール
↓醤油の選び方はこちらの記事に書いています。
↓ヨーグルトは、手作りが一番安心です。
↓同じく発酵食品のチーズはどうなのか?
チーズの選び方もこちらの記事に書いています。
発酵以外で穀物を消化しやすくする方法
精製されていない穀物は、炭水化物、食物繊維、ビタミンB群(特にナイアシンとB6)、カルシウム、鉄、リン、カリウム、亜鉛が豊富ですが、消化しにくいという難点があります。
発酵以外に穀物を消化しやすくする方法は、水に浸けることと発芽させることです。
浸水 < 発芽 < 発酵
の順で、消化しやすくなります。
水に浸ける
穀物を水に浸けることは、発酵ほどではありませんが、消化しやすくします。
常温の水に一晩浸けることで、フィターゼという酵素が活性化されます。
このフィターゼは、ミネラルの吸収を阻害するフィチン酸を取り除きます。
フィターゼがフィチン酸を分解すると、イノシトール(ミオイノシトール)という栄養素に変換されます。
イノシトールには、
●血糖値の調整
●代謝を助ける
●ホルモンバランスの調整
と言った効能があります。
発芽させる
体は何かを食べた際に、膵臓から消化酵素を分泌し、食べ物の消化を助けます。
精製されていない穀物には、この消化酵素の働きを阻害する酵素抑制物質が含まれています。
これは穀物が種の保存のためにもち合わせる自然の防御機能です。
酵素抑制物質が含まれる穀物をそのまま食べることは、体に負担になり、膨満感、ガス、胃腸障害、高血圧、糖尿病、膵臓の肥大など、全身の症状に影響します。
精製されていない穀物を水に浸けて発芽させることは、この酵素抑制物質を取り除くことになります。
さらに、穀物の核に蓄えられていた発芽するための栄養素が、発芽された状態だと分解されて吸収しやすい状態になります。
酵素抑制物質は、穀物以外にも
●(一部の)豆類
●種子類
●ナッツ類
にも含まれます。
約100年前まで、穀物は収穫されると束ねられて必要になるまで畑に放置されていました。
その過程で穀物は発芽し、その状態で消費されていました。
その後、穀物が精製される時代に入り、現在また発芽された穀物が好まれる流れになってきています。https://t.co/JZNNMmdXc5
— ユー子@カンジダ情報発信中 (@yuko_candida) May 14, 2020
穀物を発芽させて食べる5つの利点
1、栄養価が高くなる
発芽前の穀物は休眠状態です。
発芽で発生する生化学的変化は、穀物の成長をサポートする形の栄養価に変化し、それはそれを食べる人にとっても吸収しやすくなります。2、酵素が活性化
発芽により酵素が活性化されます。
続く
— ユー子@カンジダ情報発信中 (@yuko_candida) May 14, 2020
3、たんぱく質の分解
活性化された酵素は、たんぱく質(例えばグルテン)をペプチドとアミノ酸に分解。食べる人にとって消化しやすい形態になります。
4、でんぷんを分解
活性化された酵素は、穀物内のでんぷんを単糖に分解し、穀物の成長に消費されやすい形にします。
続く
— ユー子@カンジダ情報発信中 (@yuko_candida) May 14, 2020
5、フィチン酸の分解
フィチン酸は穀物に自然に含まれる物質ですが、ミネラルと結合するため「抗栄養素」と呼ばれることもあります。
発芽は穀物のフィチン酸レベルを低下させます。
これにより人は穀物からのミネラルをより吸収できるようになります。
— ユー子@カンジダ情報発信中 (@yuko_candida) May 14, 2020
グルテンフリーをしていると、たまに食べるグルテンが体調不良を引き起こします。(私の場合…)
こちらの発芽全粒粉でできたパンは非GFですが、大分お腹に優しいと感じます。
精製された小麦のパンに比べ少しパサパサしてる感じはありますが、グルテンフリーのパンよりは美味しいです。 pic.twitter.com/WJijSjPyoj
— ユー子@カンジダ情報発信中 (@yuko_candida) May 14, 2020
玄米を発芽させる方法
1、玄米を水ですすぐ
白米を研ぐようにするのではなく、すすぐ感じです。
2、水に浸ける
夏は24時間以上
冬は48時間以上 浸けます。
特に夏場の暑い時期は、雑菌が沸くので1〜2回水を取り替える必要があります。
玄米の1割くらい、胚芽が膨らんでいる状態になったら、浸水の工程は完了です。
発芽させすぎると、味と栄養価が低下します。
3、炊飯器で炊く
お持ちの炊飯器に発芽玄米のメモリがあればその分量の水で、なければ白米と同じ分量の水で炊きます。
とにかく時間がかかることがネックになります。
発芽させてからしっかり乾燥させればその状態で保存可能ですが、それも手間になるので、そこまで時間がかけられない方は、市販の発芽玄米の購入が一番簡単です。
穀物の発芽は、主要な栄養素が分解し始める前に発芽プロセスを停止させる必要があります。
そして発芽には適切な温度、湿度、時間が必要です。
穀物の浸水時間が長すぎると、発酵または腐敗し始める可能性があります。
— ユー子@カンジダ情報発信中 (@yuko_candida) May 14, 2020
まとめ
食べ物を発酵させることで、菌がアレルゲンを分解してくれるため、元の食物にアレルギーがある人でも食べても症状が出ないことが多くなります。
しかし、完全にアレルゲンが取り除かれるわけではないので、重症なアレルギーがある場合は避けるべきと言えます。
精製されていない穀物を水に浸けたり発芽させることも、発酵ほどではありませんが、消化されやすい状態にすることができるため、アレルギーがあるないに関わらず、できるだけやったほうがいい方法です。
ちなみに、牛乳アレルギーと乳糖不耐症は微妙に異なるため、乳糖不耐症の人はヨーグルトを食べても大丈夫だけど、牛乳アレルギーの人は食べるべきではないという意見もあります。
ヨーグルトに限らず、アレルギーの人が発酵されたこれらの食品を試す際は、専門家に相談してください。
・大豆、牛乳、小麦にアレルギーがある人
・アレルギーがあるのにどうして醤油、味噌、ヨーグルト、サワードウは大丈夫なのかを知りたい人
・消化の問題がある人
・カンジダ症の人
・リーキーガット症候群の人
・過敏性腸症候群(IBS)の人