日焼けはしみ・そばかすや肌の老化の原因になり、何よりも皮膚ガンのリスクを上げるから良くない。
この理由のため、日焼け止めを使う人は多く、使用頻度も年々増えてきています。
生物科学と心理学の学位を持ち、ガンとDNAの研究を専門とする臨床試験所科学者のエリザベス・プロード医師は、
日焼けではなく、日焼け止めが皮膚ガンの原因になっている。
日焼け止めは、効果よりも害を及ぼす。
と指摘しています。
皮膚ガンを予防するために塗っていた日焼け止めは、実際は皮膚ガン発症リスクを上げているのでしょうか?
この記事では、日焼け止めに含まれる有害な成分の説明、日焼け止めが皮膚ガンの原因になっている理由について説明しています。
ご自分に合った正しい日焼け対策について考える際の参考にしていただけたら幸いです。
日焼け止めが皮膚ガンのリスクを上げる理由
2018年の米国での報告によると、死亡率が高い悪性皮膚ガン・メラノーマの症例数は成人のアメリカ人で1970年代に比べ約3倍に増えています。
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こちらの表は、人口100万人あたりのメラノーマ発症症例数です。
薄緑の四角が人口100万人あたりのメラノーマ発症症例数、濃い緑の三角が死亡率です。
症例数は、1992年で14.1人 ➡︎ 2017年で22.6人 と、右肩上がりに上がっています。
皮膚ガンの増加とともに、日焼け止めの売り上げも上がっています。
日焼け止め使用の増加と皮膚ガンの増加には関連があるのでしょうか?
日焼け止めの有害な成分
日焼けの原因、紫外線には波長の違いによりUVA、UVB、UVCの3種類があります。
●UVA
太陽から地球の地表に到達する紫外線の99%がUVA。
UVAは、皮膚の真皮層(深い部分)に作用したんぱく質を変性させ、老化を促進します。
色素が沈着し皮膚が黒くなる、いわゆるサンタン (suntan)と呼ばれる日焼けを引き起こします。
日焼け止めの PA+ という表記は、UVAを防ぐ効果を表します。
●UVB
皮膚の表皮層(浅い部分)に作用し、防御反応のため色素細胞がメラニンを生成します。
皮膚のビタミンD生成はUVBによるものです。
いわゆるサンバーン (sunburn)と呼ばれる日焼けを引き起こし、色素の沈着と黒化の原因になるのはUVBです。
日焼け止めの SPF という表記は、UVBを防ぐ効果を表します。
●UVC
肌には一番悪影響な紫外線です。
UVCは、地球のオゾン層が吸収するため地表には届きませんが、近年のオゾン層破壊の問題で危険性が増ししつつあります。
日焼け止めの有効成分は、
●紫外線散乱剤
紫外線をはね返す作用がある金属(ミネラル)。
●紫外線吸収剤
紫外線を吸収し、熱エネルギーなどに変換して放出することで、紫外線の影響を防ぐ合成化学物質。
この2種類に分類でき、この他にも通常、保存料や香料などが添加されています。
そして後から詳しく説明しますが、これらの成分のほとんどは思っている以上に肌から吸収されています。
問題になる日焼け止めの成分は、以下の通りです。
1、オキシベンゾン
オキシベンゾン(Oxybenzone)は、有害な紫外線を吸収する紫外線吸収剤です。
経皮吸収され血流に入り、エストロゲン様作用などホルモンの撹乱や、細胞の損傷、アレルギー反応を引き起こす可能性があります。
エストロゲン様作用はガン細胞の成長を促進します。
オキシベンゾンは一度体内に入ると排出されにくく、母乳にも混入します。
サンゴ礁への悪影響の懸念から、ハワイではオキシベンゾンを含む製品の販売が禁止されています。
日本でのオキシベンゾンの配合は、↓以下のように規制があります。
「粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの」に対して配合上限なし。
「粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの」及び「粘膜に使用されることがある化粧品」に対して100g中に5.0gまで。
出典:”オキシベンゾン-3″ Cosmetic-Info.jp
海外では、ハワイを除いて規制がありません。
2、オクチノキサート
オクチノキサート(Octinoxate)は、UVB吸収剤です。
メトキシケイヒ酸オクチル、OMCと表記されることもあります。
UVAをブロックする作用はありません。
オクチノキサートも、エストロゲンを模倣して甲状腺機能を妨害する可能性がある内分泌撹乱物質です。
母乳にも混入し、生殖器に異常をもたらす可能性があります。
サンゴ礁への悪影響も懸念され、ハワイ、フロリダのキーウエスト、パラオでは、オクチノキサートを含む製品の販売を禁止しています。
日焼け止め以外では、ヘアカラー製品、シャンプー、口紅、マニキュア、スキンクリームに、製品が日光にさらされたことによる劣化を防ぐために添加されています。
3、アボベンゾン
アボベンゾン(Avobenzone)は、UVA吸収剤で、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンと表記されることもあります。
アボベンゾンは光にさらされると不安定になるため、他の成分(酸化亜鉛、二酸化チタン、メキソリルなど)と組み合わせられることがよくあります。
研究では、アボベンゾンの効果は1時間で約50〜90%消失するという結果があります。
特に日光に当たると成分が分解され、有害なフリーラジカルの発生を誘発し、ガン細胞の成長を促進する可能性があります。
日本でのアボベンゾンの配合は、↓以下のように規制があります。
全ての化粧品に対して100g中に10gまで。
出典:”t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン” Cosmetic-Info.jp
日焼け止め以外では、紫外線で劣化しやすい成分の変色防止として、メイクアップ化粧品、リップケア製品、ネイル製品、香水などに配合されています。
Coppertoneは子ども用の日焼け止めにアボベンゾン、ホモサレート、オクチサレート、オクトクリレン、オキシベンゾンとここで紹介している有害成分がほとんど配合されています。
4、オクトクリレン
オクトクリレン(Octocrylene)は、UVBと、一部のUVAに作用する紫外線吸収剤です。
水に溶けない性質から、ウォータープルーフの日焼け止めに多く用いられます。
光に対して安定はしていますが、紫外線吸収剤としての作用は弱めです。
オクトクリレンは、アレルギー反応と強い関連性があり、母乳に混入することも問題になっています。
5、ホモサレート
ホモサレート(Homosalate)は紫外線吸収剤で、サリチル酸ホモメンチルと表記されることもあります。
ホモサレートは日光にさらされることで分解され、有害なフリーラジカルの発生を誘発します。
内分泌撹乱物質でもあり、エストロゲン、アンドロゲン、プロゲステロンの作用を阻害する可能性があります。
6、オクチサレート
オクチサレート(Octisalate)は、UVBに作用する紫外線吸収剤です。
ウォータープルーフの日焼け止めに使われ、日光にさらされることで効果がなくなることから、アボベンゾンと一緒に配合されることが多い成分です。
オクチサレートは、アレルギー反応との関連が指摘されています。
7、メチルイソチアゾリノン
メチルイソチアゾリノン(Methylisothiazolinone)は、アレルゲンであり、子どもの重症な皮膚アレルギーと関連しています。
それなのになぜか、赤ちゃん用の日焼け止めに含まれていることがある成分です。
8、パルミチン酸レチニル
パルミチン酸レチニル(Retinyl Palmitate)はビタミンAの一種で、日光の下での使用によりDNAを損傷するフリーラジカルの形成を促進し、ガン細胞の形成につながることが懸念されています。
ビタミンAは食品から自然な形で摂取すると健康に有益で、実際に扁平上皮がんのリスクを軽減しますが、日光にさらされた状態で皮膚に使用すると、ガン性腫瘍の成長を速めることがわかっています。
抗酸化作用があり皮膚の老化を防ぐという名目で添加されていますが、それは日光にさらされていない状況での作用であり、日光の下ではDNAに損傷を与える可能性があります。
9、パラベン
パラベン(Parabens)は、防腐剤として機能し、日焼け止めやさまざまな美容製品に含まれていることが多い成分です。
パラベンの有害性は多く指摘されており、ホルモンかく乱物質としてエストロゲン様作用を持ちます。
肥満、喘息、不妊症、異常な精巣の発達、乳ガンや子宮腫瘍などの腫瘍にも関連する可能性があります。
EWG (Environmental Working Group、米国の環境保護団体)が、2000以上の市販の日焼け止めを分析した結果、75%近くの製品に有害な成分が含まれていることがわかりました。
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緑とオレンジの数字は、成分の有害度をハザードスコアとして表しています。
数字が小さいほど有害度は低く、数字が大きいほど高くなります。(スコアの範囲は1−10)
オキシベンゾンが『8』と有害度では一番高くなっています。
肌を守るために使っていた日焼け止めに、ホルモン撹乱作用や発ガン性がある成分が入っているというのはショッキングな事実です。
SPFやPAの値が大きくなるほど、有害な成分の含有量も上がります。
では、紫外線をカットし、さらにお肌に優しいイメージがあるミネラルUVクリーム、ミネラルUVパウダーなどはどうなのでしょう?
酸化チタンと酸化亜鉛のミネラルUVクリームは無害か?
ミネラルUVクリームは、紫外線をはね返す作用がある酸化チタン(Titanium dioxide)、酸化亜鉛(Zinc oxide)などの金属(ミネラル)を配合した紫外線散乱剤です。
「紫外線吸収剤不使用」などの表記から、紫外線散乱剤のみ配合された日焼け止めは発ガン性などはなく、体に有害ではないイメージがあります。
酸化チタンと酸化亜鉛は、FDA(アメリカ食品医薬局)により GRASE(generally recognized as safe and effective・一般的に安全で効果がある)に分類され、子ども用の日焼け止めにも配合されています。
酸化チタンと酸化亜鉛は、ケミカルの紫外線吸収剤に比べれば健康への悪影響は少ないと言えます。
しかし、 酸化チタンと酸化亜鉛の粒子が大きい場合、UVBカットの作用は低く、日焼け止めを塗った際に白くなる、ベタベタするなどの問題があります。
そのためメーカーはナノサイズの微粒子の紫外線散乱剤を使うようになりましたが、今度はUVBカットはしてもUVAはカットしないという問題が出てきます。
また、ナノ粒子の酸化チタンと酸化亜鉛は、光にさらされるとフリーラジカル生成を誘発する可能性があります。(光触媒作用)
フリーラジカルの生成は、発ガン性につながります。
大きな粒子ほど光の影響を受けにくいため、メーカーによっては「微粒子ではない」「ナノ粒子ではない」と表記する製品もありますが、実際に含まれているのはナノ粒子のミネラルというケースもあるようです。
つまり、
「ミネラルの日焼け止めはケミカルの紫外線吸収剤配合のものよりはマシだけど、完全に安全が保障されるわけではない。」
ということになります。
日焼け止めの経皮吸収
2020年のFDAの研究では、↓以下の日焼け止めの成分がどのくらい経皮吸収するかについて調べられました。
●アボベンゾン
●オキシベンゾン
●オクトクリレン
●ホモサレート
●オクチサレート
●オクチノキサート
研究では24人の成人男性、24人の成人女性が、毎朝のシャワーに加え、1日4回日焼け止めを体の75%の部分に塗布することを3週間続け、血液サンプルが検査されました。
結果は、初日から血液に成分が混入し、3週間の塗布が終わり7日経った後も6つの成分はFDAの許容量を超え、ホモサレートとオキシベンゾンに関しては21日経った後もFDAの許容量を超えていました。
一番顕著だったのはオキシベンゾンで、初回たった1回の塗布後ですでに体内ではFDAの懸念レベル(0.5 nmg/ml)の180倍以上の血中濃度が検出されるという結果でした。
日焼け止めがビタミンD生成を阻害することによりガンの発症率が上がる
ビタミンDはサンシャインビタミンとも呼ばれ、食品からも摂取できますが、主に肌が日光(特にUVB)に当たることで生成されるビタミンです。
ビタミンDはホルモンのような働きをします。
その効能は、
●骨の形成・維持
●カルシウム濃度を維持・促進
●筋肉を増強
●免疫機能の向上
●骨粗鬆症の予防・改善
●糖尿病の予防
●インフルエンザの予防
●動脈硬化の予防
●精神疾患のリスクを低減
●ガンの予防
など、様々な効果・効能があります。
中でも、血中ビタミンD濃度とガンの発症には相関性があると言われており、日焼け止めの使用で肌がビタミンDを生成できず、欠乏してしまうことが問題になっています。
SPF8の日焼け止めの使用が、ビタミンD生成を約95%妨害します。
これ以上のSPF値の日焼け止めでは、ビタミンD生成は実質0になります。
日焼け止めの使用が思っている以上にビタミンD生成を阻害しているようです。
日焼け止めがメラニン生成を阻害することによりガンの発症率が上がる
肌が紫外線にさらされることにより生成されるメラニン。
「メラニンがしみの原因になる」という記述はよく見ますが、メラニンの役割は紫外線防御です。
紫外線が肌に当たることで、肌の色素細胞・メラノサイトがメラニンという色素を生成します。
このメラニンが紫外線を吸収することにより、細胞の破壊や悪性腫瘍の形成を防いでくれます。
日焼け止めの使用が肌のメラニン生成を阻害し、皮膚ガンのリスクを上げてしまっています。
メラノサイトが生成するメラニンの量は、個人差があり、肌の色が濃い人ほど多くのメラニンが生成されるため、紫外線による皮膚ガンになりにくくなっています。
また、赤道に近い地域に住む人ほどメラノサイトが生成するメラニンの量が多く、赤道から遠い地域に住む人ほどメラニンの量が少ない傾向にあります。
メラニンの量が少ない人が日焼け止めを使うことは、余計皮膚ガンのリスクを上げてしまいます。
メラニン生成を促進する栄養素
メラニンの量を増やす食べ物というのはないようですが、メラニンの作用を助ける栄養素があります。
抗酸化物質
フラボノイドやポリフェノールといった抗酸化物質は、メラニンの作用を助けます。
抗酸化物質を多く含む食品は、
●緑黄色野菜
●ベリー類
●ダークチョコレート
●ターメリック
など。
ビタミンA
パルミチン酸レチニルのように、肌に塗り日光にさらされるビタミンAは有害ですが、食事から摂取するビタミンAは紫外線の害から肌を守るために有効です。
ビタミンAを多く含む食品は、
●人参
●トマト(加熱するとリコピンの吸収率が上がります。)
●ヤムイモ
●魚
●肉
など。
妊娠されている方は、1日の摂取量が700μgを超えないように気をつけてください。
ビタミンE
ビタミンEは、肌を光老化から守る作用があります。
ビタミンEを多く含む食品は、
●緑茶
●アーモンド
●唐辛子
●魚
など。
ビタミンC
ビタミンCは、A、Eと同じく、強い抗酸化作用があります。
ビタミンCを多く含む食品は、
●柑橘系フルーツ
●ベリー類
●葉物野菜
など。
健康的でバランスのとれた食生活は、ビタミンD生成、メラニン生成を促進します。
肌を紫外線の害から守るには、食生活も重要になります。
まとめ
日焼け止めの有効成分のほとんどは、そのレベルに差はありますが有害であり、内部撹乱作用、発ガン性、アレルギー症状の原因、ビタミンD生成阻害、メラニン生成阻害など、問題があります。
有害成分は経皮吸収し、成分によっては体内に蓄積したり、母乳に混入するものもあります。
過度の日焼けは肌の老化の原因、皮膚ガンの原因になりますが、適度に日光に当たることで体内のビタミンDレベルが上がり、メラニンが生成されるため紫外線の害から肌を守ってくれます。
「絶対焼かない!」と過度に日焼け止めを使うことで、日焼けする以上に皮膚ガンのリスクを高めている可能性があります。
ただこういった研究は、日焼け止めを製造・販売するメーカーがスポンサーになっていることも考慮する必要があります。
このことを知ってから、私は日焼け止めを使わなくなりました。
子どもを外に遊びに連れて行くことが多いため、日差しの強さにより帽子や長袖の羽織るものを持参したり、日陰があれば日陰に入ったりでしのいでいます。
美白とは程遠い外見になっていますが、ある程度焼けていると、多少の日差しの強さでもやけどのような日焼けをすることがなく、肌が強くなっている実感があります。
ほとんど使いませんが、一応いざという時のために買ってある日焼け止めは「Badger(バジャー)」というメーカーのもので、有効成分は酸化亜鉛のみです。
多少白くなりますが、特に問題ない使い心地です。
白くなる、ベタベタするというのは、酸化亜鉛の粒子が微粒子ではないという指標になります。
日焼け対策は日焼け止めに頼るのではなく、食生活と適度な日光浴で。
どうしてもというときには、酸化亜鉛、または酸化チタンが主成分の日焼け止めを選ぶようにしてください。
・普段から日焼け対策をしっかりとやっている人
・日焼け止めで日焼け対策をしている人
・日焼け止めの成分を気にしたことがなかった人
・小さいお子さんがいる人