「肉食が地球温暖化を促進している。」という意見を聞き、違和感を感じたことはありませんか?
実は、ベジタリアンやビーガンなどの菜食主義でもかなりの量の二酸化炭素排出に寄与しています。
作物栽培に使用される化学肥料から生成される温室効果ガスは世界の温室効果ガスの3%を占めると言われ、空輸された野菜や果物は肉以上に温室効果ガスの排出量が多くなることもあります。
この記事では、ベジタリアンのデメリットを環境に対してということを中心に説明しています。
この記事を読むと、現在推し進められているプラントベースフードが必ずしも環境と健康に有益というわけではないこと、環境汚染の本当の原因は他のところにあり、それを隠すために肉食が悪いという風潮が作られていることがわかります。
肉食は環境保護団体により不当に悪者にされており、実際に環境を破壊しているのはその畜産方法です。
肉食自体は環境は破壊せず、持続可能な畜産方法は存在するため、ビーガンが地球を救うというわけではないという結論です。
肉食が地球温暖化を促進?
肉や乳製品を食べると環境に大きな負荷がかかるという主張があります。
この主張の理由は、以下の通りです。
- トウモロコシや大豆など家畜の餌となる飼料の栽培に広大な土地、大量の水、化学肥料、農業用のトラクターや機械を使用するため
- 家畜の排泄物が温室効果ガスであるメタンを排出し、土壌や河川を汚染するため
- 牛や羊などの反芻動物のゲップにメタンが含まれるため
- 家畜の放牧で熱帯雨林が破壊され、気候変動を促進しているため
- 食肉解体場から出る廃棄物やその排水が土壌や河川を汚染するため
- 食肉や乳製品の輸送が温室効果ガスを排出するため
カーボンフットプリントとは、食品1kgを生産する過程で排出される温室効果ガスをCO2量に換算し数値化したもので、ウォーターフットプリントとは、食品1kgを生産する過程で消費・汚染される水の量を数値化したものです。
どちらも牛肉の数値が高いことがわかります。
これらの問題に対しての解決策が、ベジタリアンやビーガンなどの菜食主義の促進となっている傾向があります。
それではベジタリアンやビーガンなどの菜食主義は、環境にとってデメリットはないのでしょうか?
ベジタリアンの環境へのデメリット
国連は地球環境を守るため、人々により少ない動物性食品の消費を推奨しています。
例えば、地球上の人々全員に動物性食品の摂取を禁じ、菜食のみを強制するとしたら…
環境にとってのデメリットは、以下の通りです。
- 肥料・農薬による汚染
- 農業で使用する大量の水の問題
- 単一栽培による土壌の劣化
- 生物多様性の消失
- 輸送による温室効果ガスの排出
一つ一つを見ていきます。
1、肥料・農薬による汚染
地球上の人々全員に動物性食品の摂取を禁じた場合、現在すでに進んでいる多国籍企業による大規模栽培がさらに推進されることが考えられます。
多国籍企業は、遺伝子組み換え作物を除草剤・殺虫剤・化学肥料を使用して栽培する傾向があります。
これらの農薬は、製造されるプロセスで二酸化炭素(CO2)とメタンを排出し、農地で使用される際にも強力な温室効果ガスである亜酸化窒素を生成します。
これまでの経緯では、雑草が除草剤に耐性を持ってしまうことが多く、除草剤の散布量は常に増え、さらに強力な新しい除草剤も開発されていますが、作物を食べる人の健康と環境に対しての影響に懸念が残ります。
遺伝子組み換え作物に使用される除草剤「グリホサート」は、土壌で分解されずに浸透し地下水を汚染することがわかっています。
さらにグリホサートやネオニコチノイド系の農薬は、ミツバチの生態に影響を与えることも懸念されています。
2、農業で使用する大量の水の問題
産業排水や森林伐採などの人為的な活動の結果、地球の水質は急速に低下しています。
水供給は有限で不足しているにもかかわらず、農業用水は世界の水消費量の7割を占めています。
畜産ほどではありませんが、作物の栽培も大量の水を使用します。
例えば、チョコレートのウォーターフットプリントの高さは牛肉以上となっています。
3、単一栽培による土壌の劣化
多国籍企業は利益優先なため、大規模農地で単一の作物を土壌に休みを与えることなく何度も栽培します。
収穫量を増やすため、除草の手間を省くために農薬を使用し、土地はどんどん劣化していきます。
以前は牛や羊などの家畜のグラスフェッド(牧草飼育)が標準で、作物栽培→牧草飼育→作物栽培→牧草飼育と土地をローテーションで使っていたため、作物廃棄物と家畜の排泄物が肥料になり持続可能な農業が行われていました。
1950年頃から現代の農業様式に変わり始め土地の劣化の問題が起き、それを化学肥料で対処するようになりました。
畜産農地では土壌の炭素消失量は低いのですが、現代の慣行農業では土壌の炭素消失と微量栄養素の枯渇が進んでいます。
4、生物多様性の消失
畜産がなくなり農地が作物の栽培のみに使用されると、土壌の炭素消失と微量栄養素の枯渇が進みます。それとともに熱帯雨林の破壊なども生物多様性の消失に拍車をかけます。
生物多様性は、以下の理由から重要です。
- 栄養素を土壌にリサイクルし貯蔵すること
- 汚染の浄化
- 気候の安定化
- 水資源と土壌の保護
- 生態系の維持
5、輸送による温室効果ガスの排出
野菜や果物の空輸は、食肉以上に温室効果ガスの排出量が高くなることがあります。
例えば、
- ペルーから空輸されるアスパラ
- スイカやメロンなど重量があり腐りやすい果物
- 季節外れの野菜や果物
などがこれに当てはまります。
ベジタリアンの環境以外のデメリット
栄養欠乏
ベジタリアン、特にビーガンは、以下の栄養素が欠乏しやすくなります。
- ビタミンA
- ビタミンB2
- ビタミンB3
- ビタミンB12
- ビタミンD3
- ビタミンK2
- コレステロール
- ヨウ素
- ヘム鉄
- 亜鉛
- タウリン
- オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)
栄養素欠乏を補うにはサプリメントの摂取が必須になりますが、石油から化学合成されたサプリメントも多いことがデメリットと言えます。
貧しい国から食料を奪ってしまう
プラントベースが台頭してきたことで、先進国でキノア、アマランス、アボカドなどの消費が増え、生産地である国でそれらの食品が品薄になってしまっているということが起きています。
こういった生産地は貧しい地域である傾向があり、先進国の食料を生産することで自分たちの食べ物がなくなり飢餓に陥ります。
これに対し多国籍企業は、遺伝子組み換え作物でできている加工食品が飢餓の問題を解決すると主張します。
結局動物は殺す
肉食を禁止しても、人は動物を殺します。
マシュー・エヴァンス著「On Eating Meat」というオーストラリアの農業について書かれている本には、以下のような記述があります。
- 稲作を守るために殺されるアヒルの数は4万羽。
- 何十億という数のネズミが毒殺されている。
- りんご園では、年間120匹までのオポッサム(フクロネズミ)は殺してもいい。
ステーキのために牛を殺すのも、米のためにアヒルを殺すのも、人の食事のためということに変わりはないということです。
また、動物食をなくしても、
- 医薬品
- 建設資材
- 革製品
- ゼラチン
- ホルモン剤
などに動物性製品を使用する産業は多いということが現状です。
これらを全てなくす場合、石油化学製品の人工化合物が増えるため、環境破壊につながります。
本当の環境問題
最大のCO2排出産業は、化石燃料産業です。
そして温室効果ガスの最大10%は食品廃棄物からのメタンとも言われています。
しかしそもそも大気中のCO2レベルが気候変動の原因であることと、人間の活動が大気中のCO2の総量の最大の要因であるということは証明されていません。
大気中の最大の温室効果ガスは二酸化炭素ではなく水蒸気であり、そもそも気候変動は惑星の存在を通して起こった自然現象なので温室効果ガスはほとんど関係していません。
大気中のCO2の増加は、植物の成長を促進し水の使用効率を高めるため、有益ですらあります。
私たち人間の活動は気候変動にあまり関係がなく、CO2の増加も「悪」ではない。
それでも最大のCO2排出産業である化石燃料産業は、最大の環境汚染産業でもあります。
化石燃料(原油・石油・石炭・天然ガス)は、採掘と燃焼の両方のプロセスで環境を破壊します。
それは土地の劣化、水質汚染、大気汚染、海洋酸性化を引き起こします。
化石燃料産業には、石油の抽出と精製だけでなく、原油に由来する化学物質の製造、石油化学製品が含まれます。
石油化学製品には医薬品やプラスチック製品が含まれ、石油化学製品のうちベンゼンには発がん性、トルエンには神経毒性があります。
本当の環境問題はCO2ではなく汚染であり、現代の農業も汚染源の一つです。
まとめ
肉食が持続可能ではないという主張が台頭しビーガンや代替肉がトレンドの現代で、ベジタリアン食も
- 汚染
- 水の消費
- 土壌の劣化
- 生物多様性の消失
- 輸送による温室効果ガスの排出
などの問題があるということを説明しました。
環境問題を考える上での一番の問題は、CO2ではなく有毒物質による汚染です。
多国籍大企業による食料生産方法は、遺伝子組み換え種での有毒化学物質を使った単一大規模栽培と加工食品であるため、これが汚染の原因になっています。
このような食料生産方法が普及される以前は、それぞれの地域がその地理条件・気候に合った伝統の方法で農業を行っていました。
持続可能な農業を目指すのであれば、単一栽培よりも
- 間作
- 混作
- 輪作
- 作物栽培とともに畜産も行うこと
が理にかなっています。
畜産も大規模で行うと家畜の排泄物が一箇所に集められ環境汚染の原因になりますが、小規模畜産農家に分散された場合には環境への悪影響が少ないことがわかっています。
20世紀は食品の多様性の約75%が失われました。
これは農業の大規模化や効率を重視したことによる結果です。
現在人間は地球上に30万種ある食用植物の中から、たった150〜200種のみを食べています。
特定の植物のみを食べることと、特定の植物が絶滅していくことの問題はなんでしょう?
続く
— ユー子@カンジダ情報発信中 (@yuko_candida) September 4, 2020
多国籍大企業は、自分たちが推し進めてきた食料生産方法により生物多様性が失われたことは反省せず、さらなる遺伝子組み換えで対処しようとしています。
カカオ絶滅の問題を対処するために研究されている遺伝子組み換えカカオは、現在は販売されていませんがそのうち大豆やトウモロコシのように、流通するカカオのほとんどが遺伝子組み換えという状況になるかもしれません。
私たち消費者にできることは、こういった事実を知ることと買い物による投票です。
大企業の生産する食品は避け、出来るだけ地元の中小企業からの食品、オーガニックで非遺伝子組み換え食品を選ぶことが大切です。
それがより環境を守ることと、自分や家族の健康を促進することにつながります。