精製塩は化学塩と呼ばれることもありますが、塩化ナトリウムの塩は天然物質ではないのでしょうか?
ナトリウムは体に必要なミネラルですが、なぜ精製塩はそんなに体に悪いのでしょうか?
理由は3つ。
- 精製塩から主要なミネラルが除去されているため
- 現代人が精製塩を過剰に摂取しているため
- 精製塩の化学的加工プロセスのため
精製塩が体に悪い3つの理由について、深堀りしていきます。
精製塩はなぜ体に悪いのか?
精製塩は天然塩から塩化ナトリウム以外のミネラルが取り除かれた塩です。
海水を蒸発させた塩や、地中の岩石から採掘された塩を工場で化学的に加工して製造しています。
「salary(サラリー)」という単語には「salt(塩)」の「sal」が含まれますが、これは昔お給料が塩で支払われていたことから来ているそうです。
塩の価値が高いことを示すエピソードですが、同じ塩でも精製塩のどこが体に悪いのでしょうか?
1、精製塩から主要なミネラルが除去されているため
ミネラルが除去された塩は、体にとっては異物です。
天然塩にはカルシウム、ヨウ素、マグネシウム、カリウム、鉄などのミネラルと、複数種類の微量ミネラルが含まれますが、これらのミネラルは製造過程で取り除かれ、約99.8%の塩化ナトリウムの塩が出来上がります。
食品が加工されると、元の食品とは別のものになります。
塩化ナトリウム+その他多くのミネラルの組み合わせは健康に有益な働きをしますが、そこからミネラルを取り除かれると有害になります。
塩化ナトリウムだけあっても天然塩と同じ働きはできず、むしろ血中の塩化ナトリウム濃度が上がり高血圧を引き起こす原因になってしまう側面があります。
ナトリウム過剰摂取のケースでは、余剰のナトリウムが血管に入り、水分も引き寄せられるため血管を圧迫します。
血圧が上がり、慢性的な高血圧状態が続くと、詰まった動脈が破裂すると、脳卒中や心臓発作を引き起こす可能性があります。
過剰なナトリウムを処理して除去するために、腎臓はカルシウムを使用します。
十分なカルシウムを摂取せずに習慣的にカルシウムが失われると、骨粗鬆症が発生します。
腎臓は体内の塩分と水分のレベルを調節する役割を担っています。
ナトリウムが過剰になるとカルシウムの生産量が増加し、腎臓結石のリスクが高まります。
天然塩は体をアルカリ性にすることに対し、精製塩は体を酸性にします。
1920年代、アメリカ中西部の五大湖周辺は甲状腺腫ベルトと呼ばれるくらい甲状腺腫が多発しました。
この原因はヨウ素欠乏として、アメリカやカナダでは精製塩にヨウ素が添加されるようになりましたが、これがヨウ素過剰摂取の問題も引き起こしています。
このことから、ミネラルを取り除き後から特定のミネラルを添加するということを行っても、問題は解決されるどころか悪化するということがわかります。
現代人が精製塩を過剰に摂取しているため
現代人の食生活は、精製塩とナトリウムを過剰摂取しやすくできています。
ナトリウムは血圧を調節し、筋肉や神経の機能を助けるミネラルで、体には必要なものです。
ナトリウムの推奨食事許容量(RDA)は、成人1日あたり1.6g(塩分4g)で、最低1日あたり0.2g、1日あたり2.4gを超えると過剰摂取になります。
加工食品を食べることの多い現代人は、1日に約8.1g (ナトリウム3.2g) の塩を摂取していると言われます。
さらにナトリウム摂取源は精製塩だけでなく、
- グルタミン酸ナトリウム(化学調味料)
- サッカリンナトリウム(人工甘味料)
- 酸性ピロリン酸ナトリウム(乳化剤)
- アルギン酸ナトリウム(安定剤・増粘剤)
- 安息香酸ナトリウム(香料・抗菌防腐剤)
- プロピオン酸ナトリウム(防腐剤)
などもナトリウムを含みます。
これらの添加物は加工食品に添加されているため、加工食品を食べることが簡単にナトリウムの過剰摂取を引き起こすことがわかります。
塩は保存料にもなるため、甘い加工食品にも精製塩が含まれます。
現代人のナトリウム摂取は、料理に使う食卓塩からが11%、加工食品からが70%以上と言われています。
市販の醤油などもよほどこだわるメーカーが作ったものでない限り、安価な精製塩から作られていることに注意が必要です。
精製塩の化学的加工プロセスのため
精製塩は硫酸、または塩素で化学的に洗浄され、高温で乾燥されます。
過剰な熱により、塩の自然な化学構造が変化します。
さらに、塩をサラサラの状態に保つため乾燥プロセス中に固結防止剤を添加し、硫酸と塩素を使って塩を白く漂白します。
固結防止剤に使用される物質は以下の通りです。
- クエン酸鉄アンモニウム
- 無水リン酸ソーダ
- 無水硫酸マグネシウム
- 塩化マグネシウム
- 塩化カルシウム
- 炭酸マグネシウム
- 炭酸カルシウム
- 微粒二酸化ケイ素
海外の精製塩では賞味期限を伸ばすために、発がん性物質であるフェロシアン化ナトリウム、ケイ酸アルミニウムなどの重金属が含まれる物質を添加するケースもあるようです。
「なんでわざわざ天然塩を加工して精製塩にするの?」と思われる方がいると思いますが、精製塩を製造する工業過程は非常に簡単で安価であり、賞味期限の長い製品を製造でき、さらに需要が高いために行われています。
注意が必要な塩
塩は天然塩か精製塩の2つに分類できますが、例えば海塩(シーソルト)と言っても、天然塩の海塩もあれば、精製塩の海塩もあります。
「海塩(シーソルト)」という表記だけに惑わされないことが必要です。
同じくわかりづらい塩が、「コーシャ塩」。
コーシャというとユダヤ教の食品認証ですが、だからと言ってコーシャ塩が天然塩であるわけではないです。
通常のコーシャ塩は精製塩であり、添加物も入っています。(ただしヨウ素は添加されていません。)
ユダヤ教の肉料理に使用される粒子が粗い塩をコーシャ塩と呼ぶようになったとのことです。
こういう塩を選びたい
塩を選ぶ際のポイントは以下の通りです。
- 天然塩
- 真っ白ではない塩
- 手作業で作られた塩
- 地元産
以前はアメリカのリアルソルト、フランスのケルト海塩などをオススメしていましたが、地元産食品はその地域で暮らす人にとって必要な栄養素が絶妙なバランスで含まれていると考えるようになり、現在は日本に住む方にとっては日本の海で採れた塩が最適という認識です。
例えば、伯方の塩はメキシコから来ているので沖縄のぬちまーすの方がオススメです。
まとめ
精製塩は、体のミネラルバランスを崩し、高血圧の原因になり、化学的に精製されており、添加物も入っているということを説明しました。
さらに醤油を含むあらゆる加工食品に精製塩が使われており、他の添加物にもナトリウムを含むものが多くなっているため、加工食品に頼るの食生活をしている人にとっては、調理に天然塩を使っていたとしても、過剰摂取になりやすくなっている問題があります。
自宅での調理には天然塩を使うことはもちろん、加工食品に頼らず、極力自分で調理することが重要になります。