水道水の塩素を気にする方は多いと思いますが、水道水に混入する鉛の健康被害も問題です。
安価で加工しやすい金属である鉛は、古代ローマの時代から水道管に使われてきた歴史がありますが、20世紀半ば頃から健康被害が続出し、日本では1995年に上水道の鉛製給水管(鉛管)が全面禁止になりました。
全面禁止になっても、すでに取り付けられている鉛菅を別のもに交換しなくては、水道の蛇口から出てくる水に鉛が混入する可能性は無くなりません。
この記事では、水道水に健康被害を及ぼす鉛が混入している可能性があること、鉛の健康被害例、水道水の鉛を避けるためにできることについて説明しています。
鉛の健康被害
経路
人が鉛を摂取する経路は、ほとんどが吸入、または経口摂取ということです。
皮膚から吸収する経路はあまりないようです。
鉛はガソリンや塗料に添加されていたり、電池やテレビのブラウン管、アクセサリーなどにも使用されてきました。
鉛を加工する工場や、ガソリンの燃焼により鉛が大気中に放散され、その鉛が地面にくっつくことにより植物も汚染されます。
そしてその植物を食べた動物も汚染されるサイクルになります。
また、最近まで日本をはじめ世界中で水道管には鉛が使われてきました。
酸化しやすい金属である鉛は、腐食が早く、古い鉛菅の中を大量の水が流れるだけで微量の鉛が削り取られ水に混入します。
また酸性雨など、水が酸性の地域では、鉛菅の腐食が更に促進されます。
鉛入りの塗料がはがれおち、土壌を汚染するという経路もあります。
鉛中毒
鉛には酵素の働きを阻害する毒性があります。
水道水などから日常的に体内に摂取される鉛は、体が排出できる許容量を超えると体内に蓄積され健康被害をもたらします。
鉛の急性中毒では、
・嘔吐
・腹痛
・ショック
鉛の慢性中毒では、
・疲労
・睡眠不足
・便秘
・腹痛
・貧血
・神経炎
・脳変性症
など、主に消化器症状、神経症状が出るようで、発ガン作用も心配されています。
水道水に混入する鉛の濃度は、各国、各地域で基準が設けられていますが、その毒性から「基準を下回れば安全」ということはではないそうです。
鉛は少しでも入っていれば健康に影響を与える恐れがあります。
子どもに対する影響
小児は成人よりも鉛を経口摂取した場合の消化管からの鉛の吸収率が良く、成人では経口摂取しても10%程度の吸収率であるのに対し、小児が経口摂取すると約50%が吸収される。
子どもは大人以上に鉛を吸収しやすく、I.Qの低下、多動といった症状が見られるようです。
健康被害例
●2006 年に米国で靴のおまけについていたハート 型のブレスレットを誤飲して死亡した 4 歳児の死因
●2015〜16年 アメリカ・ミシガン州フリントの水汚染公害
日本の水道管
日本では1995年に上水道の鉛管が全面禁止になりました、と書きましたが、問題はそこでは終わりません。
ほとんどが地中に埋められている水道管は、交換するには多額の費用がかかります。
そして水道局が管轄の水道管を鉛が入っていない塩化ビニールなど別の材質の水道管に交換したとしていても、その水道管から各住宅までつながる部分のパイプの交換費用はその住宅のオーナー負担となります。
鉛菅の交換費用が安価ではないため、今も交換が済んでいない住宅が多いようです。
水道水の鉛を避けるために
朝イチの水道水は、水道管に溜まっていた水に夜中に溶け出した高レベルの鉛が混入している可能性があります。
水を約5分間、またはバケツ1杯分流しっぱなしにすることで、鉛の混入濃度を下げることができます。
また、飲料水や料理に使う水は浄水器でフィルターしてからの使用をオススメします。
浄水器購入の際に、鉛をフィルターしない浄水器もあるので、注意してください。
ブリタ(Brita)もフィルターによって、鉛に対応しているものとしていないものがあります。
まとめ
水道水に健康被害を及ぼす鉛が混入している可能性があること、鉛の健康被害例、水道水の鉛を避けるためにできることについて説明しました。
鉛の摂取はカンジダ症やリーキーガット症候群といった腸内環境に関わる病気にも悪影響を与えます。
私が住むカナダでも水道水の鉛の問題は大きく、ミシガン州・フリントで水道水から検出されたのと同じかそれ以上の鉛がモントリオールやサスカトューンといった都市で検出されています。
鉛の問題は、日本だけではなく世界中で問題になっているようです。
水道水は、鉛以外にも塩素、トリハロメタン、アスベストなどの問題もあります。
・1995年以前に建てられた家に住んでいる方
・自宅の水道管が鉛管の方
・自宅の水道水の水質に不安がある方
・妊娠中の方
・小さいお子さんがいる方