牛乳の遺伝子組み換え成長ホルモン・rBGHの危険性

食の安全

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rBGHホルモンは、乳牛の乳分泌量を増やすために人工的に遺伝子組み換えで合成された成長ホルモンです。

 

 

この成長ホルモンの投与により、牛のIGF-1(インスリン様成長因子1)という、成長促進、タンパク質合成、インスリン作用に関わるホルモンレベルが上がり、牛乳にも混入。

これを摂取することによりがん細胞の形成に関与することが懸念されています。

 

 

このrBGHホルモンは、欧州、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、日本など、世界の数カ国で禁止されていますが、現在もアメリカをはじめ、数カ国で出回っています。

 

 

rBGHホルモンの商品化から承認、表記の規制に関して、バイオ化学メーカーであるモンサント(現バイエル)が大きく関わっています。

 

 

この記事では、rBGHホルモンとは何か、乳牛への影響、人への影響、rBGHホルモン承認にまつわるモンサントとの関係について説明しています。

 

 

こんな人に読んでもらいたい
・食の安全に興味がある人
・牛乳、乳製品が好きな人
・健康的な食生活を心がけている人

 

 

rBGHホルモンとは?

rBGHホルモン(recombinant bovine growth hormone)は、組み換え牛成長ホルモンです。

 

rBSTホルモン(recombinant bovine somatotropin )と呼ばれることもあります。

 

牛乳生産の効率化のため、人工的に作られた成長ホルモンです。

 

 

 

rBGHホルモンの牛への影響

BGHというホルモンは、牛の下垂体で少量だけ自然に生産されるペプチドホルモンで、代謝の調整に使われます。

 

人工的に合成されたrBGHホルモンの投与は、乳細胞の死を防ぎ、乳産生量を増加させる作用があります。

 

 

rBGHホルモン投与により、牛の体内ではIGF-1(インスリン様成長因子1)という、成長促進、タンパク質合成、インスリン作用に関わるホルモンレベルが最大10倍上がります。

このIGF-1は牛乳にも混入し、がん細胞形成に関与することが懸念されています。

 

 

rBGHホルモン投与による乳牛への影響は以下の通りです。

 

●牛乳産生量平均11~16%増加

●牛の乳腺炎リスク約24%増加

●牛の受胎能力約40%低下

●牛の足の障害の発症リスク約55%増加

 

これに加え、牛乳の栄養価の低下に対する懸念もあります。

 

 

 

 

rBGHホルモン牛乳の人への影響

rBGHホルモン投与により牛の体内で増えるIGF-1ホルモンは牛乳にも混入し、低温殺菌でも不活性化されないことがわかっています。

 

この牛乳を摂取することでの人への影響は、アポトーシス(細胞の自死)を阻害することによる発がん性です。

 

乳がん、前立腺がん、結腸がん、肺がん、およびその他のがんの危険因子と考えられています。

 

研究によると、閉経前の50歳未満の女性はIGF-1レベルが高く、乳がんを発症する可能性が7倍高いことが示唆されています。

 

男性は前立腺がんを発症する可能性が4倍高くなります。 IGF-1は肺癌および結腸癌に関係しています。

 

IGF-1レベルの増加は、二卵性双生児の出生率を上げる可能性もあります。

 

アメリカでの双子の出生数は、rBGHホルモンが禁止されているイギリスの2倍の速度で増加しました。

 

 

また、rBGHホルモンによる乳牛の乳腺炎の増加で、炎症の膿、抗生物質の投与量も増えました。

 

抗生物質は牛乳にも混入するため、牛乳の常用は抗生物質の耐性菌の問題も生み出します。

 

 

IGF-1ホルモンについては、「rBGHホルモンの使用の有無に関わらず、牛乳を飲めば増加する傾向にある」とする研究結果もあります。

 

 

 

rBGHホルモンとモンサント

1981年、最初に牛成長ホルモンの遺伝子を発見し特許を取得したのは、ジェネンテック(Genentech)というバイオテクノロジー系の企業です。

 

大腸菌に牛成長ホルモンの遺伝子を入れるクローン技術と遺伝子組み換えでrBGHホルモンを合成しました。

 

これを商品化したのが以下の製薬大手4社です。

 

●モンサント(Monsanto)

●アメリカン・サイアナミッド(American Cyanamid)

●エリ・リリー(Eli Lilly)

●アップジョン(Upjohn)

 

モンサントは「ポジラック(Posilac)」という商品名でrBGHホルモンを商品化。

1993年、4社の中で一番先にFDA(米国食品医薬局)から承認されました。

 

その後、エリ・リリーにrBGHホルモン事業を売却。

 

エリ・リリー(Eli Lilly)は、抗うつ剤も開発する企業です。

 

 

牛の健康、人の健康に対しての懸念が残る中、なぜFDAはrBGHホルモンを「人が摂取しても安全」と承認したのでしょうか?

 

 

FDAの承認

FDAがrBGHホルモンを承認する前の1980年代後半、1人のFDA科学者が内部告発をします。

 

rBGH処理牛に関連する健康問題についての懸念を表明した後、この科学者は解雇されました。

 

この科学者の懸念に賛同していた他の科学者たちは、役職を剥奪されたり、左遷されたりという措置がありました。

 

別のFDAの内部告発者は、連邦政府に詐欺と利益相反を訴える匿名の手紙を議会に送っています。

 

1976年からFDAで弁護士として勤めていたマイケル・テイラーは、1981年、モンサントと取引のあるキング&スポルディングに移籍、弁護士を務めます。

1991年、テイラーはキング&スポルディングを辞任し、再びFDAに戻り政策担当副局長の役職につきます。

 

1993年、テイラーの在任中、FDAはrBGHホルモンを承認。

 

その他にもテイラーは、「rBGHフリー」という、消費者がrBGHホルモンを使っていない牛からの牛乳と知るための表記を禁止する働きにも関わりました。

 

オバマ大統領に対し、テイラーのFDAへの任命を取り消すことを要求する2つのオンライン請願は、50万人以上の署名を集めました。

 

 

 

 

rBGHホルモンフリーの表記

2003年、メイン州のオークハースト乳業(Oakhurst Dairy)は、自社の牛乳パックに「rBGHフリー」の表記があったために、消費者に混乱を与えるとしてモンサントに訴えられました。

 

この訴訟は、オークハースト乳業が「FDAによると、rBGH処理牛と未処理牛に由来する牛乳の間に有意差は示されなかった」という声明を表記に追加することで和解。

 

事実では、モンサントもFDAも、rBGHホルモンによるIGF-1ホルモンの増加を認めていたにも関わらず、このような結果になりました。

 

 

報道番組に圧力

1989年、モンサントから資金提供を受けた研究者が所属する乳業連合会(the Dairy Coalition)は、USAトゥデイ、ボストングローブ、ニューヨークタイムズなどの編集者に、rBGHに関する健康への懸念の報告をやめるよう圧力をかけました。

 

 

1997年、アメリカのテレビ局、Foxは4部構成でできたrBGHホルモンについての報道番組を制作。

 

しかしFoxに、シリーズが放送される直前に、モンサントの弁護士からの脅迫状があり、番組は無期限の延期。

 

しかも番組の記者が解雇されるという結末になりました。

 

 

賄賂と改ざん

1998年、「rBGHホルモンが安全ではない」という見解の科学者が、rBGHホルモン承認をめぐっての審議をするカナダ議会で発言する際、重要書類が入ったファイルキャビネットが盗まれたこと、モンサントからの圧力、モンサントから100万ドルの賄賂の提示があったことを明らかにしました。

 

 

rBGHホルモン禁止措置

物議を醸したrBGHホルモンですが、アメリカでは現在も承認され市場に出回っています。

 

アメリカの乳牛の17%がrBGHホルモンを投与されていると言われています。

 

しかし、この成長ホルモンの需要は減少傾向にあり、大手のレストラン、大型食料品店チェーンなど、rBGHホルモン牛乳を扱わない企業も増えてきました。

 

rBGHホルモン牛乳を扱わない企業の例

●Costco

●スターバックス

●トレーダーズジョー

●パブリックス

●セーフウェイ

●ウォルマート

など。

 

 

 

rBGHホルモン禁止国

rBGHホルモンの使用を禁止している国は、以下の通りです。

 

●欧州

●カナダ

●オーストラリア

●ニュージーランド

●日本

●イスラエル

●アルゼンチン

 

世界で27〜30か国で禁止されているそうですが、禁止されているすべての国はわかりませんでした。

 

アメリカ、メキシコ、南アフリカ、その他数カ国では禁止されていません。

 

 

日本では、rBGHホルモン使用の禁止、rBGHホルモンを含む乳製品の輸入を禁止しています。

 

が、しかし、全く安心できるかと言われれば、そうでもないようです。

 

EUは牛成長ホルモンを使った乳製品の輸入も禁止しているが、日本は、牛成長ホルモンを禁止しながら、それが含まれている乳製品の輸入を黙認するという二枚舌の政策をとっている。

出典:日刊ゲンダイ”食肉だけじゃない ホルモン入り米国牛乳と乳製品の危険性”

 

 

2020年1月に発効された日米貿易協定により、チーズなど乳製品の関税が下がっているそうです。

日本国内でもアメリカ産乳製品がさらに増えてくることが予想されます。

 

 

まとめ

 

 

モンサントという企業について知っている方には、特に驚くようなことではないかもしれませんが、このrBGHホルモンの一連の流れは、この企業の体制を象徴するかのような問題になりました。

 

しかし、モンサントがこれだけ頑張って世に送り出したrBGHホルモンですが、消費者からの反発は大きく、需要が下火になっているということは、現在出回っている毒性のある食品も消費者次第で市場から追い出すことができるのではないか?という希望が見えてきます。

 

まずは消費者が問題について知るということが重要かと思います。

 

 

日本に住んでいる方は国産の乳製品を選び、アメリカ、メキシコに住んでいる方はオーガニックの牛乳、乳製品を選ぶようにしてください。

 

 

 

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