炎症が関係する症状に処方される抗生物質。
風邪をひいた時、抜歯後、手術の後などに処方されることが多いので、服用したことがある人も多いと思います。
世界初の抗生物質「ペニシリン」の発見は、「奇跡の薬」と呼ばれ、発見したイギリスの医師はノーベル賞を受賞しています。
実際にいくつもの人命を救ってきた抗生物質ですが、副作用や耐性菌など問題もあります。
この記事では、抗生物質を安易に飲むことが知らず知らずに健康を害しているかもしれない理由について説明します。
抗生物質とは?
抗生物質とは、細菌や微生物を殺すまたは増殖を阻害する薬です。
抗菌剤、抗生剤とも呼ばれます。
抗生物質が効果を示す細菌
・ブドウ球菌
・大腸菌
・サルモネラ菌
・緑膿菌
・コレラ菌
・結核菌
・ポツリヌス菌
・破傷風菌
・レンサ球菌
・溶連菌
など
ウイルスには効果がない
抗生物質は菌や微生物に対して効果を示しますが、ウイルスには効きません。
ウイルスに効果を示す薬は、抗ウィルス剤です。
風邪は大抵ウイルスが原因なので、風邪の時に抗生物質を飲んでも効果はないということになります。
私は風邪の時に処方された記憶がありますが…
ウイルスの例
・インフルエンザウイルス
・ノロウイルス
・ロタウイルス
・アデノウイルス
・麻疹ウイルス
・風疹ウイルス
・肝炎ウイルス
・ヘルペスウイルス
・HIV
・デング熱
・エボラ出血熱
など
真菌にも効果がない
抗生物質は真菌にも効きません。
真菌に効果を示す薬は、抗真菌薬です。
当ブログによく出てくるカンジダ症はカンジダ菌が引き起こす病気ですが、抗生物質では治療できません。
真菌の例
・カンジダ菌
・アスペルギルス
・白癬菌
抗生物資を安易に使用すべきではない理由
副作用
抗生物質の副作用で一番多いのが、下痢で、その他にも蕁麻疹や肝機能障害といった副作用があります。
これは抗生物質が病原性の細菌と共に、腸内の善玉菌も殺してしまい腸内バランスが崩れることで起こります。
善玉菌・悪玉菌を含め、「菌」はみんな死にますが、真菌には効かないためカンジダ菌は生き残ります。
そしてカンジダ菌は、酸性である短鎖脂肪酸を生成する善玉菌がいないうちに増殖してしまいます。
抗生物質は必要のない場合はできるだけ使用しないことが一番いいのですが、避けられない状況の場合は「プロバイオティクス」も一緒に服用し、腸内に善玉菌を送ってあげることが大切です。
耐性菌
抗生物質を使うほど、細菌も耐性を持とうとして変形し、結果的に抗生物質が効かなくなってきます。
風邪など必要のない症状にも抗生物質が処方されるようになり、耐性菌が増えて、抗生物質の効き目が相対的に弱くなっていることが社会問題になっています。
抗生物質が必要なケースでも、症状が改善してきたからと言って自己判断で服用をやめたり量を減らしたりすると、死にかけていた細菌が復活する可能性があるようなので、抗生物質は処方された分量を決められた期間、決められた頻度で服用することが大切です。
まとめ
抗生物質は時には命をも救う大切な薬ですが、必要のないケースに処方されることも多いようです。
必要のないケースでの服用は、無駄に善玉菌を殺し副作用が出る問題、無駄に耐性菌を作ってしまう問題があるので、抗生物質の処方に少しでも疑問があれば、医師に相談するかセカンドオピニオンで違う医師からの意見を聞くことも考慮したいです。
医師によっては、6歳になるまで抗生物質は服用すべきではないという意見もあります。
善玉菌を殺してしまう心配、耐性菌の心配がない天然の抗菌剤もたくさんあります。
・風邪で抗生物質を服用することがある人
・抗生物質が効果を示すケースが知りたい人
・抗生物質が効かなくなってきた人
・抗生物質の服用で副作用が出る人