ビタミンCのサプリメントと言うと、レモンやアセロラからできているイメージがありますが、実際はほとんどのものが遺伝子組み換えのトウモロコシから合成されてできています。
この合成されたビタミンCは「アスコルビン酸(Lーアスコルビン酸)」と呼ばれます。
アスコルビン酸はサプリメントだけでなく、添加物として、加工食品、お茶、ジュース、お菓子、いろいろな食品に見られます。
食品だけでなく、医療用のビタミンC点滴や、化粧品にも使われています。
この合成ビタミンC・アスコルビン酸、化学的な組成はビタミンCなのですが、天然のビタミンCとは別物と言っていいくらい、効果・効能に差があり、場合によっては健康に害になることもありえます。
この記事では、天然と合成のビタミンCの違い、合成ビタミンC(アスコルビン酸)の問題点、安心のビタミンCサプリメントの選び方、について説明しています。
天然ビタミンCと合成ビタミンCの違い
野菜や果物に含まれる天然のビタミンCと、トウモロコシなどからのグルコースから合成されたビタミンC(アスコルビン酸)。
化学的な構造式は両方 C6H8O6 です。
そのため、「アスコルビン酸は天然のビタミンCと同じ働きをする」という意見もありますが、両者は全く違います。
複合体か高純度か
大きな違いは、天然のビタミンCはフラボノイドやポリフェノールなど様々な物質と化合物を作っていることに対し、合成のビタミンC、つまりアスコルビン酸は化合物ではなく純粋な状態です。
これが生体利用率に大きく影響します。
ハンガリーの生化学者スゼント・ゴーギーは、1930年代にビタミンCを発見しました。
スゼント・ゴーギーは、天然のビタミンC複合体の多くはアスコルビン酸であることも発見し、壊血病やその他の病気の治療にアスコルビン酸を使いました。
免疫力低下、骨粗鬆症、疲労、倦怠感、血管や関節の弱り、歯茎の出血など、ビタミンC欠乏症で引き起こされる症状。
しかし、アスコルビン酸は効果を示しません。
ホールフードからの天然ビタミンCを使うと、非常に高い効果を示します。
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こちらの研究結果では、天然ビタミンCがアスコルビン酸よりも35%以上吸収された結果になっています。
ビタミンC複合体のバイオフラボノイド
天然のビタミンC複合体には、
●ビタミンK
●ビタミンP
●ビタミンJ
●チロシナーゼ(メラニン合成経路の酵素で銅を含む)
などが含まれます。
アスコルビン酸という入れ物の中にバイオフラボノイド(K、P、J、チロシナーゼなど)が入っているイメージです。
ビタミンPやビタミンJは聞きなれないかもしれませんが、微量栄養素でビタミンCの働きを助けます。
チロシナーゼは、副腎ホルモンの働きを促進します。
現在、天然のビタミンC複合体の組成を化学的に合成することはできず、複合体に含まれる物質も全てはわかっていません。
参考動画:Your Vitamin C could be Killing You: Vitamin C vs Ascorbic acid
合成ビタミンC(アスコルビン酸)の問題点
合成ビタミンCは栄養バランスを崩す原因に
合成ビタミンC、またはアスコルビン酸の問題点は、高容量での摂取で、
●ビタミンK
●ビタミンP
●ビタミンJ
●チロシナーゼ
の欠乏を引き起こすことです。
アスコルビン酸単体で摂取した場合、アスコルビン酸は体内のビタミンK、P、J、チロシナーゼと結合してしまうためです。
がんの代替治療で100,000mgというの高容量のアスコルビン酸点滴を受けた患者が、クモの巣状静脈瘤(スパイダーベイン)、副腎疲労、壊血症など、ひどいビタミンC欠乏症を発症してしまった例があります。
合成ビタミンCは酸化しやすい
天然ビタミンCは、バイオフラボノイドなどの抗酸化物質と結合していますが、合成ビタミンCのアスコルビン酸にはそれがありません。
アスコルビン酸の分子構造は不安定な為、酸化しやすい特性があります。
酸化したアスコルビン酸は、健康には害のある物質になります。
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こちらの記事では、アスコルビン酸が遺伝子に損傷を与える可能性があることを発見した研究について書いてあります。
30人の健康な男性と女性の6週間の研究で、ビタミンCの毎日500mgの合成ビタミンCサプリメントが遺伝物質であるDNAに対して酸化促進作用と抗酸化作用を持っていることを発見しました。
研究者たちは、500mgレベルでのビタミンCの酸化特性の研究ではこれまで測定されていなかった、DNAの一部であるアデニン塩基へのフリーラジカルによる遺伝子損傷を促進したことを発見しました。
この記事によると、フリーラジカルの遺伝子損傷は、アスコルビン酸が体内に保存されている第二鉄を第一鉄に変換するプロセスで起こると説明しています。
第一鉄 → 酸化された鉄。有害。
天然ビタミンCでは、この酸化プロセスは起きません。
合成ビタミンCは、抗酸化物質と酸化促進物質の両方の特性を持ち合わせるますが、酸化されたアスコルビン酸は酸化促進作用の方が強くなります。
ライナス・ポーリング博士は、がん治療に高容量ビタミンCの摂取を提唱したことで有名な医師です。
ポーリング博士が論文を発表した1970年代は、まだ遺伝子組み換えのアスコルビン酸がなかったそうで、博士が亡くなった後に遺伝子組み換えアスコルビン酸を使ったビタミンC点滴が行われるようになりました。
しかし、ポーリング博士の研究のスポンサーがホフマン・ラ・ローシュ社(合成アスコルビン酸生産の大手)だったこと、博士自身の死因ががんだったことから、遺伝子組み換えの是非に関係なく、アスコルビン酸の高容量摂取は気をつけたほうがいいということが伺えます。
合成ビタミンCの製造方法
アスコルビン酸は、通常、トウモロコシから合成されます。
トウモロコシのでんぷんからのグルコースを加水分解し、ソルビトールに変換します。
生産の手間、コストを抑える場合、アセトン(除光液)、ベンゼン(ガソリン)、塩酸などを使用し、合成します。
通常、非遺伝子組み換えトウモロコシから合成する場合は、手間と時間がかかる「発酵」という方法で合成します。
生産コストが安い合成方法は中国で開発された方法で、そのため、
「中国産の合成ビタミンC=低品質」
という図式が出来上がりました。
市場に出回っているほとんどの合成ビタミンCは中国産で、遺伝子組み換えトウモロコシから合成されています。(遺伝子組み換えトウモロコシというのは、モンサント社(現バイエル社)のキングコーンになります。グリホサートという問題の多い農薬も使われています。)
イギリス産、スコットランド産の合成ビタミンCは、非遺伝子組み換えトウモロコシを使用している場合が多いです。
日本ではビタミンCの合成は行われておらず、天然ビタミンC以外はすべて輸入に頼っています。
ビタミンCサプリメントの選び方
健康の為にビタミンCを摂取するのに、遺伝子損傷を起こすリスク、発がん性リスクのあるビタミンCは購入したくありません。
なんですが、ビタミンC製品は天然ビタミンCなのか、合成ビタミンCなのか、合成なら遺伝子組み換えトウモロコシからできているのか、が非常にわかりにくい表記で記載されています。
ビタミンCの表記
見極め方は、以下の通りです。
○「天然」「天然由来」
→天然ビタミンCの可能性が高いです。
○「非遺伝子組み換え」「Non-GMO」
→天然ビタミンCか、非遺伝子組み換えトウモロコシから合成したアスコルビン酸の可能性が高いです。
△「オーガニック」「有機」
→添加物として合成ビタミンC、しかも遺伝子組み換えトウモロコシが使われている可能性があります。(特に「Non-GMO」表記がない場合は要注意。)オーガニックの加工食品でも、添加物は表記の対象にならないようです。
△「ナチュラル」
→添加物として合成ビタミンC、しかも遺伝子組み換えトウモロコシが使われている可能性があります。(特に「Non-GMO」表記がない場合は要注意。)
X「ビタミンC(アスコルビン酸)」
→合成ビタミンCです。「Non-GMO」の表記がない限り、遺伝子組み換えトウモロコシが使われていると思って間違いないです。
△「ビタミンC」
→「天然」の表記がない限り、合成ビタミンCです。「Non-GMO」の表記がない場合は、遺伝子組み換えトウモロコシが使われていると思って間違いないです。
△「ローズヒップ配合ビタミンC」「レモン配合ビタミンC」
→合成ビタミンCにローズヒップやレモンを配合しているだけの場合があります。遺伝子組み換えトウモロコシが使われている可能性があります。
サプリメント1錠にどのくらいのビタミンCが含まれるかも指標になります。
150mg以下 → 天然ビタミンCの可能性が高い
150mg以上 → 合成ビタミンCの可能性が高い
表記を見て判断に迷うようなら「遺伝子組み換えトウモロコシの合成ビタミンC」と思って間違いないはずです。出回っているビタミンCのほとんどが「遺伝子組み換えトウモロコシの合成ビタミンC」ということを忘れないでください。
ビタミンC製品にトウモロコシが使われているのに、原材料にトウモロコシがない理由
トウモロコシアレルギーは、あまり聞きませんが、存在します。
ビタミンC製品は、天然か合成かがわかりにくい上、原材料に「トウモロコシ」と記載していないのは、アレルギーを持つ人は困るのではないでしょうか?
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こちらのメガビタミン推奨のアンドリュー・サール医師のサイトに、この疑問に対する回答がありました。
トウモロコシたんぱく質は高アレルゲン性アレルゲンではない。
トウモロコシから作られたビタミンCにはトウモロコシは一切含まれていない。
アスコルビン酸のタンパク質分子は非常に小さく、トウモロコシの巨大タンパク質とは全く別物。
ビタミンC合成のプロセスで、分子が小さくなる。
遺伝子組み換えに対しての懸念は、アスコルビン酸分子的には問題ない。
炭素、水素、酸素原子を遺伝的に変更することはできない。
C6H8O6にはGMO因子はありません。
アスコルビン酸を合成する際に、遺伝子組み換えの懸念される因子、農薬の影響などは、完成品のアスコルビン酸には入ってこない、ということでしょうか?
これをどう解釈するかは、読み手に委託します。
一番選びたいビタミンC
食品から摂取するビタミンCが一番生体利用率が高く、抗酸化作用も期待出来る形態になります。
野菜、特に緑黄色野菜、果物はビタミンC含有量が高い傾向があります。
炭水化物、タンパク質など、他の成分と一緒に摂取することでさらに生体利用率が上がるため、バランスの良い食事が大切になります。
ビタミンCは水溶性ビタミンで水に溶けやすく、熱に弱い栄養素です。
野菜・果物はなるべく生で食べることが望ましいです。
サプリメントの形態では、アムラという果物の抽出物、または粉末がオススメです。
柿の葉のお茶もビタミンC含有量が高くなっています。
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こちらのiHerbのお茶は、柿の葉入り!
アムラと柿の葉のビタミンCは、熱に強い特性があります。
これはビタミンCがタンニンと結合しているために起こる、嬉しい特性です。
サプリメントやお茶にしても、生体利用率の高いビタミンCが摂取できます。
避けたいビタミンC
C1○00タケダ
フ○ンケル
DH○
などの大手メーカーのビタミンC製品は、避けたい合成アスコルビン酸になります。
パッケージを見る限り、体に良さそうなのは間違いありませんが、冷静な見極めが必要です。
まとめ
天然ビタミンCと合成ビタミンCは全く別物ということを説明しました。
誰もが考えるビタミンCは、ビタミンC複合体のことで、ビタミンC複合体から一部を取り出したアスコルビン酸はビタミンC複合体と同じ仕事はできない、そればかりではなく、健康に害になる場合があるということです。
ビタミンCの高容量摂取の推奨はよく聞きますが、天然ビタミンCの場合生体利用率が高いため、そこまで高容量にこだわらなくても大丈夫ということです。(疾患がある場合は、1日1000mg程度の高容量が推奨されます。)
合成ビタミンCでも非遺伝子組み換えのアスコルビン酸は、バランスの良い食事と組み合わせての摂取で健康効果を発すると思います。
合成だからダメ!というわけではないので、状況に合わせて工夫して摂取してみてください。
加工食品はできるだけ避け、ホールフードを食べることが重要です。
「天然ビタミンCと合成ビタミンCは構造が同じだから同じ物!」という混乱の原因。
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1930年代、アスコルビン酸を合成できる技術誕生。1950年、大手製薬の圧力を受けFDA(食品医薬品局)がビタミンCの定義を変更。
合成ビタミンCが「ビタミンC」という名称を獲得。https://t.co/DeY0CM8F3k https://t.co/ROtGZ2vff4— ユー子@カンジダ情報発信中 (@yuko_candida) October 16, 2023
・ビタミンCサプリメントを摂取している人
・加工食品をよく食べる人
・コンビニによく行く人
・メガビタミンに興味がある人