GABA(ギャバ・γ-アミノ酪酸 ・Gamma-AminoButyric Acid )というアミノ酸は、脳を落ち着かせリラックスさせる効果がある抑制性の神経伝達物質です。
必要に応じて脳の活動を抑制し、興奮した神経を落ち着かせます。
ストレスが多い現代社会で常に戦闘態勢の状態にある脳は、GABAの不足で抑制力を失い、機能のバランスを崩します。
GABAは脳内でグルタミン酸から生成されます。
私たちの脳は十分なGABAを生成できているのでしょうか?
この記事では、GABAの脳内での役割、GABA不足になる原因、GABA生成を促進するためにできることについて説明しています。
GABAの脳内活動
GABA受容体は脳全体に広がっており、活性化されると負に帯電した塩素イオンが細胞膜を通過して細胞内に入り、そこで細胞活性が低下します。
さらにそれらは活動を抑制し、神経系を閾値から遠ざけるために、正に帯電したカリウムイオンを細胞膜を横切って細胞の外に分路するのに役立ちます。
GABAは、
●アミノ酸グルタミン酸
●酵素グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)
●ピリドキサールリン酸(ビタミンB6の活性化型)
を主要な補因子として合成されます。
このプロセスは、脳の主要な興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸をGABAに変換します。
脳のほとんどの領域では、GABAは分子が大きすぎて血液脳関門(BBB)を通過できません。
脳の第3脳室にある視床下部の脳室周囲核など、透過性のバリアがある特定の領域では、脳の活動に影響を与え、成長ホルモンの分泌量を調節するのに役立つことがわかっています。
また、GABAは睡眠ホルモンであるメラトニンの合成の重要です。
メラトニンは、体の免疫機能にも大きな役割を果たします。
GABA不足の原因
現代人はGABA不足に陥りやすい環境で生活しています。
GABA不足になる原因は、以下の通りです。
慢性ストレスと副腎疲労
慢性的なストレスは、ストレスホルモンが常に分泌されている状態を作ります。
●コルチゾール(炭水化物、脂肪、およびタンパク代謝を制御し、免疫抑制などに関わるホルモン)
●ノルアドレナリン(交感神経の情報伝達に関与する神経伝達物質)
●アドレナリン(神経節や脳神経系における神経伝達物質)
これらのストレスホルモンレベルを増加させます。
ストレスホルモンが増加することは、GABAの生成を減少させます。
脳内のグルタミン酸が多すぎると、脳細胞が過剰に興奮します。
さらに、ストレスホルモンの増加は細胞活動を増加させ、フリーラジカルの過剰な産生を引き起こし、脳細胞に損傷を与え、通常のGABA生成をさらに減少させます。
この状態が長期間続くと脳は脳細胞の構造を変えて順応しようとし、神経精神病の症状が悪化します。
GABA生成を促進する治療により、神経精神病の症状が改善することがわかっています。
睡眠不足
睡眠不足は上記の慢性ストレスに陥る大きな原因です。
体内時計である概日リズムの乱れが睡眠ホルモンであるメラトニンの低下につながり、質の良い睡眠が取れなくなることでGABAレベルが下がるという悪循環が起きます。
質の良い睡眠が脳に与える作用
1、代謝の副産物を排出
2、機能しなくなった神経細胞を処分する
3、神経系の再構築
4、神経伝達物質のバランスをリセット
5、神経伝達物質受容体の感度を上げる
不安定な血糖値
不安定な血糖値は脳の大きなストレス要因であり、
●酸化ストレス
●細菌性感染
●有害な毒素
●慢性炎症
から脳を保護するように設計された血液脳関門を破壊します。
低血糖は脳組織の部分的な飢餓を引き起こし、ストレスホルモンを増加させ、より多くの栄養素を通過させるために血液脳関門を開放します。
これにより、より多くの毒素とフリーラジカルが脳組織に到達し悪影響を与え、ストレスホルモンの上昇とグルタミン酸の放出を引き起こします。
さらに高血糖は脳にインスリン抵抗性を引き起こし、十分なブドウ糖がある状態での機能的飢餓を引き起こしますが、それを脳に取り入れて使用することはできません。
この場合、それは血液脳関門を開き、ストレスホルモンの上昇とグルタミン酸の放出による脳への過剰な酸化的損傷を引き起こします。
腸内細菌叢の不均衡
脳腸相関、腸内細菌叢のバランスと神経学的健康を結びつける研究が増えています。
乳酸菌やビフィズス菌など、腸内の有用菌の減少が腸壁の炎症を引き起こし、GABAレベルの低下、脳の興奮性の増加、神経性炎症と関連していることを示しています。
腸内の有用菌は、興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸をGABAに変換する重要な補因子であるビタミンB6の吸収と活性化に不可欠です。
十分に活性化されたビタミンB6がないと、グルタミン酸の興奮毒性が生じ、不安、発作、うつ病、認知症、アルツハイマー病のリスクが増加します。
栄養欠乏
栄養欠乏もGABA不足の原因になります。
欠乏しているとGABA生成に影響が出る栄養素は以下のとおりです。
●亜鉛
●ビタミンB6
●マグネシウム
●タウリン
●グルタミン
L-グルタミンというアミノ酸は体内で最も豊富なアミノ酸であり、GABA産生の前駆体です。
グルタミンは最初にグルタミン酸に変換されます。
これは、注意力・集中力の持続時間、脳のエネルギー、学習能力、記憶の鍵となります。
グルタミン酸は重要ですが、このグルタミン酸の一部をGABAに変換する必要があります。
過剰なグルタミン酸は神経細胞を興奮させる危険があります。
グルタミン酸をGABAに変換するステップでは、ビタミンB6の活性化形態(ピリドキサール-5-リン酸・P5P)が必要になります。
さらに、タウリンというアミノ酸はP5Pのコミュニケーションと生産性を高め、GABAの生成を促進します。
タウリンの欠乏は不安を引き起こす可能性があることを示した研究もあります。
亜鉛はP5Pを活性化し、GABAの放出を高めます。
ビタミンB6と亜鉛は、セロトニン、ドーパミン、ノルエピネフリン、エピネフリン、ヒスタミンなどの他の神経伝達物質の生産と利用にも不可欠です。
マグネシウムはGABA受容体の結合と活性化に重要です。
十分なマグネシウムがなければ、GABA受容体を効果的に活性化して有効に利用することができません。
マグネシウム欠乏症は非常に一般的で、女性の80%以上、男性の70%が欠乏症であり、ほとんどの人はマグネシウム補給でGABAの活動に劇的な改善を得ることができます。
GABA生成を促進するために
体がGABAを生成するためには、十分なL-グルタミンが必要です。
L-グルタミンがグルタミン酸に変換され、次にGABAに変換されます。
このプロセスには、亜鉛、ビタミンB6、タウリンの活性が重要になります。
これらの栄養素が不足していると、十分な量のGABAを生産することができません。
GABA生成を促進するためにできることは、以下のとおりです。
ストレスの対処
ストレスの対処法は色々ありますが、以下の方法が効果的です。
●呼吸法
●サプリメント
●ドライスキンブラシ
●こまめな水分補給
●アーシング
●カフェインと砂糖を避ける
●エッセンシャルオイルの使用
●ヒーリング音楽を聴く
●物事を前向きに捉える癖をつける
●遊ぶ
●毎日リラックスタイムを設ける
●携帯電話やインターネットの時間を減らす
●適度な塩分補給
●笑う
●日光浴
●エプソムソルトバス
●瞑想
●ストレッチ
●感謝を日記に綴る
抗炎症ダイエット
神経伝達物質の機能をサポートするため、抗炎症作用のある食品を多く摂取する食生活が重要になります。
ポリフェノールが豊富な食品は、高い抗炎症作用を持ちます。
ポリフェノールは、植物が紫外線などから自分の身を守るための物質で、抗酸化作用、抗炎症作用があります。
ポリフェノールが豊富な食品は、
●調味料
ローズマリー
タイム
クローブ
ペパーミント
生姜●果物
ベリー
チェリー
プラム
プルーン
リンゴ
ブドウ
ザクロ
バナナ続く
— ユー子@カンジダ情報発信中 (@yuko_candida) June 24, 2020
●野菜
タマネギ
アーティチョーク
アスパラガス
オリーブ
ブロッコリー
ニンジン
ピーマン
カリフラワー●マメ科植物
黒豆
白豆
大豆●ナッツ/種子
亜麻
栗
ヘーゼルナッツ
アーモンド
クルミ
ペカン●ココア製品
ダークチョコレート
ココアパウダー●飲料
コーヒー
紅茶
緑茶
赤ワイン— ユー子@カンジダ情報発信中 (@yuko_candida) June 24, 2020
ボーンブロススープも腸内の炎症を抑える効果があります。
L-グルタミンも摂取できます。
睡眠時間の確保
GABA生成を促進するために、質の良い睡眠は必須です。
●午前中の日光を浴びる
●アーシング
●規則的な食事
●アルコール、カフェイン摂取の制限
●ハーブティー
●寝る前はテレビやパソコンを見ない
●夜11時には布団に入る
などの工夫が質の良い睡眠につながります。
腸内環境の改善
腸内環境を改善するために、ニンニク、タマネギ、オレガノ、バジル、タイム、ペパーミント、ショウガなどの抗菌作用のある食品を多く取り入れます。
腸内環境にかなりの悪化が見られる場合は、カンジダダイエットを行い腸内環境をリセットしてから発酵食品やプロバイオティクスを摂取し健康な腸内環境を構築していくことをオススメします。
定期的な運動
定期的な運動は神経伝達物質にとっても有益です。
GABAレベルの低い人は、あまり運動をしたくなくなるという悪循環に陥る傾向があります。
ウォーキングや簡単なヨガなどから始めてみてください。
サプリメント
GABA生成を促進するサプリメントは以下の通りです。
マグネシウム
ビタミンB群
P5P
P5P は活性型のビタミンB6です。
プロバイオティクス
↑
微生物学者・大平伊一郎博士の研究でできたプロバイオティクスです。
日本国内だけでなく、海外でもストレスからくる消化器系の問題に効果があるとして支持されています。
L-グルタミン
タウリン
まとめ
必要に応じて脳の活動を抑制し、興奮した神経を落ち着かせるGABA。
ストレスの多い現代社会で脳の興奮が保持されリラックスできない状態は、慢性炎症、全身の問題に発展する可能性があります。
食生活やライフスタイルを気をつけることで、脳のGABA生成を促進し心と体の健康を保つことができます。
頑張る、無理をする時代は終わりを迎えています。
自分のため、大切な人のためにも、時代はリラックスすることが重要視される方向にシフトしており、十分なGABAのおかげで毎日笑って暮らす人々がどんどん増えてくる光景が見えています。
・ストレスの多い生活を送る人
・生活習慣病の人
・不規則な生活を送る人
・気分のムラがある人
・疲れている人