クエン酸は柑橘系の果物に含まれる有機酸です。
エネルギーの代謝を高める、栄養吸収を高めるなど、クエン酸には素晴らしい効能があります。
添加物のクエン酸は、酸味料、風味増強剤、保存料、乳化剤として、
●加工食品
●健康食品
●缶詰・瓶詰
●清涼飲料水
●ワイン
●お菓子
●乳製品
●医薬品
●化粧品
●サプリメント
●ペットフード
●洗剤
など、様々な製品に見られます。
ボツリヌス菌の繁殖を防ぐ効果があるため、ほとんどの缶詰・瓶詰に添加され、サプリメントでは吸収を促進するキレート剤としても添加されます。
水回りのお掃除に使われる方も多いと思います。
この添加物のクエン酸、レモンなど柑橘系果物から抽出されているわけではなく、遺伝子組み換えのトウモロコシからのコーンシロップと遺伝子組み換えの黒カビから作られているものが主流です。
天然のクエン酸には抗酸化作用などの素晴らしい効能がありますが、遺伝子組み換え成分が由来のクエン酸は、天然クエン酸と同じ効能があるのでしょうか?
健康に害はないのでしょうか?
この記事では、人工的に合成されるクエン酸の製造方法、合成クエン酸の健康への影響、どういうクエン酸を選べばいいかについて説明しています。
合成クエン酸
人工的に合成されたクエン酸は、どのように作られ、健康にはどのように影響するのでしょう?
合成方法
クエン酸は、1784年に初めてレモンから抽出され、添加物としての使用が始まりました。
1917年、アメリカの製薬会社大手、ファイザー社が、黒カビを使いでんぷんを発酵。その際生成された物をろ過したのち硫酸を使い精製する方法で、合成クエン酸の大量商業生産が始まりました。
カビとでんぷんで作るクエン酸合成方法は柑橘系果物から抽出するよりもコストが安くなります。
さらにモンサント社(現バイエル社)が遺伝子組み換えコーンの大量生産を始め、このコーンから作られたコーンシロップで遺伝子組み換え黒こうじカビ、アスペルギウス・ニガー(Aspergillus niger)を培養するようになりました。
●カビがコーンのでんぷんを発酵させた結果の生成物がクエン酸で、ろ過もしているため、クエン酸にカビとカビ毒が混入することはない、
●発酵、精製することで、クエン酸にトウモロコシのタンパク質は入ってこない、
という理論になっています。
それでは合成クエン酸は健康に害を及ぼさないのでしょうか?
健康への懸念
製造方法を見るといかにも体に悪そうな合成クエン酸ですが、アスペルギウス・ニガーは比較的毒性が低いカビとして、USDA(アメリカ農務省)、FDA(アメリカ食品医薬品局)からはGRAS(比較的安全)として認可されています。
合成クエン酸摂取による健康への影響を調べた実験はないのですが、アレルギー反応などは報告されています。
合成クエン酸摂取による症状の報告
●皮膚への刺激
●皮膚のかゆみ
●炎症
●消化の問題
●胃痙攣
●腹痛
●嘔吐
●アナフィラキシーショック
これらの症状はカビによるものと思われ、レモンやオレンジの摂取は大丈夫なのにクエン酸が添加されている製品の使用では症状が出るという場合は、アスペルギウス・ニガーに対するアレルギーテストを受けることが推奨されます。
白血病、がん、エイズなどの治療中で、免疫機能が低下している人は、クエン酸が添加されている製品を避けたほうがいいと言えます。
オーガニック食品、飲料などにも添加物として遺伝子組み換え成分由来のクエン酸が含まれ、「オーガニック」という表記があっても安心できるというわけではありません。
ご注意ください。
安全なクエン酸の選び方
一番安全なクエン酸は、当然ですが天然のクエン酸になります。
粉末で安全なクエン酸を購入したい場合は、気をつけるポイントがあります。
天然クエン酸
天然のクエン酸は、柑橘系果物に多く含まれます。
●レモン
●ライム
●オレンジ
●グレープフルーツ
●ゆず
●すだち
●かぼす
など。
その他にクエン酸を含む食品は、
●キウィフルーツ
●ベリー類
●りんご
●梨
●キノコ類
●ジャガイモ
●トマト
●アスパラガス
など。
↑
レモン汁からクエン酸を抽出する方法
●硫酸
●塩化カルシウム
●水酸化ナトリウム
●苛性ソーダ
を使っています。
このYouTubeビデオを見ると、抽出が大変そうな感じが伝わってきます。
合成クエン酸は安全?
本来は柑橘系果物から抽出したクエン酸を選びたいのですが、いろいろな製品を確認した結果、柑橘系果物から抽出された粉末クエン酸は見つけられませんでした。(メキシコでは柑橘系果物由来のクエン酸が販売されているという情報は見かけました。)
なので市販のクエン酸はほぼ全てトウモロコシのでんぷんをアスペルギウス・ニガーで発酵させたものと思っていいようです。
カビアレルギーがある方はアレルギー検査でアスペルギウス・ニガーに反応するかを調べ、陽性の際はトウモロコシ由来のクエン酸は全て避けたほうが良さそうです。
アスペルギウス・ニガーにアレルギーがない方は、合成クエン酸で健康被害が出る可能性は少ないと言えます。
その場合でも、できるだけ非遺伝子組み換えのクエン酸を選びたいです。
遺伝子組み換えトウモロコシは殺虫性のあるタンパク質を含むように設計されているため、精製してタンパク質は取り除かれるとはいえ、健康への影響はわからないためです。
GMコーンの開発メーカーと米国は、このタンパク質が害虫だけを殺し、人には安全であると主張します。
2013年中国福建省、荷揚げされる前の米国からのコーンを調べたところ、禁止されているGM種を発見。受け取りを拒否しました。
中国はMIR 162の安全性に関して、米国を信頼していません。
— ユー子@カンジダ情報発信中 (@yuko_candida) September 24, 2020
非遺伝子組み換えトウモロコシ由来のクエン酸
以下のクエン酸は、非遺伝子組み換えトウモロコシ由来の製品です。
↑
Frontier Natural Productsのクエン酸は、iHerbのサイト上では「Non-GMO」の表記が書かれていませんが、このメーカーが扱う製品はすべて非遺伝子組み換えです。
こちらの製品と同じものになります。
上記の2つのメーカー、「ニチガ」と「Frontier Natural Products」に、メールでクエン酸の製造方法について問い合わせました。
Frontier Natural Productsからは、「調べて後日回答します。」というメールがありましたが、その後回答はありません。回答がありましたら、ここに追記したいと思います。
ニチガさんからは、大変丁寧な回答をいただきました。
以下、回答メールの原文です。
お問い合わせいただきましたクエン酸についてでございますが、再度製造メーカーに問い合わせ致しました。発酵するのに、菌を使うそうです。黒カビ(コウジカビ属)アスペルギルス・二ガー発酵後どのくらいカビが残るか不明ですが、製造段階ではこれを使用しないとクエン酸は出来ないそうです。クエン酸を製造するのに世界中どのメーカーも、これを使用して発酵を行うそうです。
何度も何度も大変申し訳ないのですが、そのアスペルギルス・二ガーは、遺伝子組み換えの黒カビなのでしょうか?➡遺伝子組換え情報は、作物のみに使用される為、対象外です。トウモロコシを黒カビで発酵させた後の生成物を精製すると思うのですが、その際に使われる薬剤に化学物質は含まれるのでしょうか?➡発酵後 中和する段階にて、水酸化カルシウム酸分解 段階にて 硫酸脱色・精密ろ過 珪藻土・活性炭が製造工程中に使用されておりますが、使用目的はクエン酸発酵液から純度の高いクエン酸を製造するための副材料になります。現在、日本市場で流通しているクエン酸は全て上記の製法にて製造されております。
ツイッターでフォローさせていただいている「うちぱかこ+あ」さんが、クエン酸メーカー数社に連絡を取り、製造方法について詳しく質問した回答をまとめてくださいました。
うちぱかこ+あさん、ありがとうございました。
クエン酸の事ですが、めちゃくちゃ長くなるのと、文章力がないので上手く伝わらなかったらすみません🙏
クエン酸に使われるアスペルギウス・ニガーと言う黒麹菌(黒カビ)は製造過程でなくなるとの事です💡
そして日本で製造した場合、商品として出す前にカビが残っていないかの検査をしないと— うちぱかこ+あ ※誤字脱字よくします🙏💦 (@minnnakizuke) November 25, 2020
●サツマ化工株式会社さん
外国産の非遺伝子組み換えのトウモロコシを使って国内生産
●木曽路物産さん
中国製造で非遺伝子組み換えで製造している
●ニチガさん
海外の工場でオーストリア産の非遺伝子組み換えトウモロコシで製造
まとめ
人工的に合成されたクエン酸は遺伝子組み換えトウモロコシと遺伝子組み換えカビからできていることが多く、トウモロコシのタンパク質とカビはクエン酸には混入してこないため安全ということですが、カビの影響と思われる健康被害も報告されています。
市販の製品で柑橘系果物から抽出されたクエン酸を見つけることは難しく、購入する場合はせめて非遺伝子組み換えの成分からできている製品を選びたいといった感じです。
カビアレルギーがある人、特にアスペルギルス・二ガーにアレルギーがある人は、遺伝子組み換えの有無にかかわらず、合成クエン酸は避けたほうがいいと言えます。
ビタミンCサプリメントのアスコルビン酸も非遺伝子組み換え由来の製品は少なく、天然由来の製品はもっと少なくなります。
しかしクエン酸はアスコルビン酸以上に天然の製品が少ないように感じました。
摂取するクエン酸はもちろん、掃除に使うクエン酸もカビが混入していれば健康に影響が出るリスクがあります。
さらに、遺伝子組み換え成分を使った製品を購入することで遺伝子組み換え産業をサポートするのは不本意であり、健康への影響が不透明です。
クエン酸製品のパッケージを見ただけでは遺伝子組み換え成分が使われていることがわかりにくいため、クエン酸の製造方法について知らない消費者は、遺伝子組み換え食品を避ける努力をしていても知らず知らずに遺伝子組み換え食品を摂取しているということが起こってきます。
気をつけましょう。
・サプリメントを摂取する人
・主婦
・自然派の人
・加工食品を食べることが多い人
・カビにアレルギーがある人